JATA、4月にハワイ視察団 海外旅行再開の第一歩に
日本旅行業協会(JATA)は3月23日の会見で、コロナ禍により2年間停止している海外旅行の再開に向け、4月にハワイへ視察団を派遣することを発表した。視察団はJATA会員旅行会社ら21名で構成され、JATA会長の高橋広行氏(高ははしごだか)が団長を務める。ハワイ州知事やホノルル市長、日本領事館、ハワイ・ツーリズム・オーソリティなどと会談や意見交換を行い、現地の受け入れ体制を確認するとともに、ハワイにおける日本市場のプレゼンスの向上を目指す。
高橋会長は、「国際往来再開に向けた具体的な活動として、まずは日本人にとって海外旅行のシンボルといえるハワイに視察団を派遣することとした」と説明。視察団にはJATA会員8社、日米の航空会社5社、ハワイ州観光局などが参加し、4月3日より3泊5日の行程で、観光行政関係者らとの会談のほか、JATAが作成した海外旅行ガイドラインの検証、新たな観光素材の開拓、仕入れ・オペレーション事情の把握などを行う。
また、コロナ以前、ハワイには年間1000万人が訪れ、うち150万人が日本人だったが、2021年は677万人の来島者中、日本人は2万4000人にとどまった。米国本土からの需要がホテルの稼働率を支えたため、一部で「日本人が来なくてもいいのではないか」という声もあるといい、今後ホテルの仕入れなどに支障を来すことが懸念される。視察団の派遣は、日本のプレゼンスを向上させることで、「旅行手配にネガティブな影響を与える恐れがある芽を早いうちに摘んでおく」狙いもある。
コロナ禍により、旅行会社は海外の募集型企画旅行を実施できない状況が続いている。高橋氏は、外務省の感染症危険レベルと、現在運用されている水際対策の「指定国・非指定国」との整合性が取れておらず、募集型企画旅行再開の障壁になっていると指摘。入国者数の制限の全面撤廃と併せて政府に強く求めていく考えを示した。今後の見通しとしては、「遅くとも夏休み前までには、一部の国、地域との国際往来が再開されるべく活動していく」という。
なお、JATAでは4月17日に、第2弾として韓国への視察団の派遣を予定している。ウクライナ問題もあり欧州については当面は様子見となるが、今後は東南アジア諸国にも広げていく。高橋氏は、「JATAが海外旅行再開に向けて活発に活動している姿勢を示すことで、業界全体の士気を高めるとともに、一般の方々の海外旅行への期待と意欲を醸成する一助にしたい」と意欲を示した。