IT系に行った元社員が振り返る今週のニュース ー 主な会員とやらは置いてけぼりのJATAの話

  • 2022年3月21日

 今この原稿を書いているのは月曜日なのですが、明日からようやくまん防が終了、それに伴ってか今の会社では結構旅行に関する話題が出ます。ワーケーションに行きたいからおすすめどこかな、とか4月1日から韓国での隔離がなくなるから1ヶ月とか向こうで仕事しようかな、などなどチャットで流れてきます。でも一方で、このワーケーションに関してまとまってるB2Cのポータルサイトってないようで結構不便です。ワーケーションをしようと思うと、コワーキングスペースが近くにあるのかとか、オンラインMTG用のスペースが借りられるのかとか、ホテルでディスプレイ貸し出しのサービスがあるかとか、あるいはテレビにHDMIでPCと接続できるのか、WiFiの速度はどんなものなのかなどなど、職種にもよって求める条件って結構色々あると思うんですが、ホテル検索サイトとかもまだそこを横断的に条件として検索できるところはないか、少なくとも知名度が高くはないので、ビジネスチャンスがありそうだなーと思いながらチャットを眺めてました。

 さて、JATAは経営フォーラムにてデジタルとリアルが融合した新モデルとしてOMOをテーマに話されています。テーマを設定された山下氏はJTB総合研究所ですが、JTB総合研究所は昨年もコラムでOMOについて触れていましたし、そもそもJTBが昨年発表したバーチャル・ジャパン・プラットフォームで行いたかったこともメタバースを手法としたOMOだったんだろうなあということを考えると、そもそもの選択されたテーマがなんだかなあという気がしますね。

 記事内でも「JATAによれば、会員1114社のうち従業員100名の中小旅行会社は94%、20名以下の会社は75%を占めている」とありますが、なぜそのような中小旅行会社が主となっているJATAで今、OMOや『デジタルとリアルの融合』なんて話をすること自体、タイミングがずれてない? と思うのは私だけですか? だって今から旅行会社がデジタルとリアルを融合しようなんて考えても、そんなのプラットフォームが出来上がるまで体力が保つ旅行会社がどんだけあるの? という直近のコロナによる問題を無視した議論にしか思えないんですよね。更に言えば、各社の設定したモデル会社によるケースも既存のCRM(顧客関係管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)で実装できそうな内容で、他業界では似たようなものがゴロゴロ事例として転がっています。それをこの、瀕死の旅行業界で今更議論してどうするのかというのが正直な感想です。

 主な会員が中小企業ですと言う割には、結局体力があってコロナから数年後を見据えられる大手のための議論がメインで、主な会員とはなんぞやと問いたくなります。本当に中小旅行会社のためを思うのであれば、過去10年分くらいの財務諸表を公開した上で、現在の現預金を元に中小旅行会社へ融資でも行っていただきたいものです。1,000社を超える会員が毎年年会費35万円を支払っているわけですから、年間3億円以上キャッシュインがあるわけですから、そのくらいする余剰金がありそうなものです。