【発行人コラム】顧客のペインポイントはどこ?
疫病・紛争・自然災害を想定しつつ、環境にも配慮することが求められる今後の旅行に、旅行者がお金を払ってでも解決したいと思う「ペイン」は何処なのか。
希望=ニーズは沢山あるでしょう。快適で清潔、安全な交通手段や宿、いざという時の緊急対応体制や保険、カーボン・オフセット等々。
これら数ある希望の内、顧客は何に対価を払う価値を認めるのでしょうか。
分かりやすいのは「保険」、海外旅行へ行かれる人の約3割が加入している(クレジットカード付帯除く)とされています。
加入の目的は「海外での高額な治療費」「賠償責任」「貴重品の紛失や盗難」「旅程変更に伴う費用」等が主な理由で、これらを1日あたり1000~3000円程度で解決・緩和出来るのですから、さまざまリスクを想定せざるを得ない今後、加入率は上がりそうです。
それ以外は?全体の3割超が対価を払うような共通の「ペイン」を見つけるのは難しそうですが、顧客を細分化して考えれば色々と見つかりそうです。
例えば社員を赴任・出張させる企業はこれまで以上に緊急事態発生を意識し、準備をしておくことが求められるでしょう。
SDGsに積極的に対応している会社や団体、バッジを常時付けている人は環境配慮に一定の費用を払う可能性がありそうです。
一方、起きるかどうか分からない事に余計なお金は払わない、いかほどの効果が有るかも分からない環境配慮より「廉価」を選ぶ人の方が多いのだと思います。
我々は「ペイン」をお持ちのお客様は誰なのかを見極め、適正な対価で求めるものを提供する姿勢と、「廉価」を求めるお客様にはリスクや不都合も明示していく姿勢の双方を持つべきなのでしょう。
蛇足ながら私の「pain」探しのキーワードは「shame」です。解決したい課題と恥が重なる部分が「ペイン」であることが多いと思っています。
近いうちにコロナ後の観光産業=我々自身の「ペイン」にも当コラムで触れたいと思っています。皆さん自らの「対価を払ってでも解決したい事」を是非教えて下さい。
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、32周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役