「空の旅」で都道府県間の相互誘客を活性化させる3事例を紹介-「空の旅」を考えるサミット [PR]
平和ツーリズムや地域の知られざる歴史をテーマに
課題解決で第2のふるさとづくりも促進
宝塚市、「ウィルキンソン・タンサン」をテーマに歴史探訪
「人との出会いが日本の旅の価値を高める」をコンセプトにしたヒトタビHYOGOは現在、宝塚市、丹波篠山市、たつの市、加西市、赤穂市で進められており、「兵庫を世界に売るガイドの育成をしている」(江藤氏)。
このうち、宝塚市では、観光素材を掘り起こす中で、明治時代に誕生した「ウィルキンソン・タンサン」に注目した。英国人のウィルキンソンは1889年に宝塚で炭酸鉱泉を発見。その水を英国で分析したところ、名鉱泉であることがわかったため、事業化を進め、1915年には神戸港から海外への輸出も始めた。現在アサヒ飲料が販売している「ウィルキンソン」の原型だ。
宝塚市国際観光協会会長で宝塚温泉ホテル若水の社長でもある小早川優氏は「地元でも、ウィルキンソンの歴史はあまり知られていなかった。地元の歴史家が調べて、一般に知られるようになったのは3、4年前だった」と明かす。武庫川沿いに工場と共に「タンサン・ホテル」を開業。国内外の商社や要人を招いて、ウィルキンソン・タンサンをアピールしたという。
江藤氏は、当時の英国のガイドブックにも、「タンサン・ホテル」が「日本のファーストクラスホテル」として紹介されていることから、「宝塚はインバウンドの草分け的な場所という仮説を立てた」と話す。
ヒトタビHYOGOでも、ウィルキンソンのストーリーをベースとし、初代兵庫県知事となった伊藤博文など英国と繋がりのある人物の歴史も絡めながら、神戸の旧外国人居留地から北野異人館街、中山寺、宝塚温泉をめぐるルートでガイド育成プログラムを策定した。
今年1月には実際に在日外国人向けにモニターツアーを実施。参加者はガイドと共に設定ルートを巡り、最後はホテル若水で、ウィルキンソン炭酸水を使って特別に考案された「宝塚ハイボール」で乾杯したという。
江藤氏は、「万博やIR開業を契機として、世界の富裕層や知的好奇心の高い旅行者に対して、宝塚のストーリーを訴求していきたい」と意欲を示し、大阪から少し足を伸ばし、宝塚で宿泊する流れを作っていく考えを示した。
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