IT系に行った元社員が振り返る今週のニュース ー HISの"2023年に需要回復"の予測ってどこから?
今週の会計士の視点シリーズは、ある意味渦中であるHISに関する内容です。最も、玉置先生は今回不正会計に関する部分は触れられていませんが。
しかし、GoToの不正に触れずともHISもかなりの苦境に立たされていることがわかります。海外旅行の比率が高かったことによるダメージに、エネルギー事業も苦戦、人件費の割合の高さもあり費用削減も厳しい。今すぐ倒産ということはなさそうということですが、今後の予測も2023年に旅行需要の回復がするという予測に基づいているとのこと。しかし、その需要の戻りの予測は正直そんなに可能性が高いとは思いません。
いまはロシアによるウクライナ攻撃によりコロナ関連のニュースが減りましたが、いまはまたオミクロンより感染力が高いステルスオミクロンとやらが都内で市中感染だの、沖縄でも感染者が見つかっただの、我々としては無視するわけには悪いニュースが出てきています。第七波が確実にくる! と断言する専門家もいる今、コロナに世界情勢の不安と海外需要が2019年並に戻る日はどんどん遅れていっているように思えます。
実際、IATAの予測ももともとは世界の旅客需要回復が2023年からというのがどんどん遅れて今は2024年と言っているわけですし、VUCA(不確実性の時代)と呼ばれる今どんな権威ある団体や識者が予測してもそこまでの確度は望めません。そうなると、玉置先生が言われているHISの仮定が崩れる可能性もそれなりにあるわけで(というか2020年の時点でIATAが回復は2024年と言っていた気がするのですがHISの仮定はどこから?)残念ながら楽観的な仮定であろうと思います。もちろん、この予測があたってくれるのが我々にとっても良いのですが……
さて、もう一つJATA経営フォーラムでもいくつかのトピックに関して触れられています。個人的にはインフラの共同利用と共同プラットフォームが惹かれるトピックスです。特にプラットフォームは全体の効率化に大きく寄与すると思いますが、いかんせん旅行会社で開発を主導できる技術力があるところはあまりなさそうにも思えます。IATA内での発言力だとかを無視して、PaaSを利用し外部ベンダーへきちんと依頼しながら全体をマネジメントできる会社がやってくれるなら、明るい話なのですが……(個人的にはアドベンチャーに是非)
まあしかし、一方でそういった取り組みが効果を出すのはどうしても中期的にならざるを得ませんし、まさしく今困難に直面しているこの業界を救う手立てが欲しいものです。