【発行人コラム】BCP策定に「戦争」想定が外せない時代に…

  • 2022年3月3日

疫病はもちろん、大規模自然災害リスクも高まるばかり、観光産業ならではのBCPとは?

 緊張感が高まっている事を報道で見聞きしても、まさか本当に安保理常任理事国による他国への軍事侵攻が行われるとは思っていませんでした。平和ボケと言われればその通りかも知れませんが、SNS等を見ても大多数の方はそのように思っていたのだと思います。

 それが仮に妄想だったとしても、抱き続けたかった妄想ですが、今後もこのような愚挙は起こり得ると認識を改めざるを得ません。

 これは特にアウトバウンド、インバウンドに主軸を置く観光関連企業にとって、ようやくコロナ収束の兆しが見えてきたその時に起こった、最悪の事態です。

 この状況で我々が出来ることは何なのでしょうか?

 やはり、観光がもたらす公益を追求し続けることなのだと思います。

 同じ事象でも、一人称や三人称では無く、二人称で感じることには大きな違いが有ります。私や俺たち、顔を知らない誰かでは無く、顔が見える「貴方と私」。行き過ぎた「吾が」を減らし、三人称を二人称に置き換える交流促進こそが、観光産業が果たし得る最大の社会貢献で、これが無いと一部の為政者による暴挙や脚色された情報に抗うすべが無くなります。

 また、我々が想定しなくてはならないこととして、巨大地震や大規模噴火も有ります。これらはいつか必ず起こると決まっているにも関わらず、準備や覚悟は殆ど出来ていないと思います。

 今回の「戦争」を目のあたりにして、観光産業として平和維持の為に何が出来るのか、いつか必ず起きる大規模な自然災害に際して何が出来るのか、本質的な命題を与えられた気がしてなりません。

 社会に対する貢献、公益を今一度自ら問い直した上で、自社や自分の得手や知見、リソースが最も活かせる具体的なサービスや商品を提示して行くことが究極のBCPなのでは無いでしょうか。

※皆さん、先週のロビーイングに関するコラムへ賛否共に多数のコメントやメッセージ、ありがとうございました。その中にはご自身の時間や経験を提供したいという具体的なお申し出も頂いております。このテーマは近々に再度取り上げ、その際にはより沢山の方の意見・意向をお聞かせ頂きたいと思っていますので、ご協力お願い致します。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​