豪州の「今」を駐在員の視点から-進む「コロナ共存」 社会活動、経済活動の正常化へ邁進
事実上の「新型コロナウイルス・ゼロ戦略」から「コロナ共存」への戦略転換
日本同様に四方を海に囲まれているオーストラリアでは、過去徹底的な水際対策が取られ、2020年3月20日以降オーストラリア市民及び永住者を除く渡航者の全ての入国が禁止となり、帰国を希望するオーストラリア市民及び永住者に対しては、到着日から14日間の強制隔離施設での隔離が自己費用負担(約3,000豪ドル)で課されてきました。この事実上の「新型コロナウイルス・ゼロ戦略」の一方で、連邦政府はワクチン接種率の目標値を設定し、目標値に達した段階でロックダウン等の行動制限は回避することを提示。加えて各州政府のワクチン接種啓蒙活動もあり、接種率は大きく向上しました。
国内で初めてオミクロン株の市中感染が判明した2021年12月3日の段階で、16歳以上の2回のワクチン接種率は87.7%までに達しており、オミクロン株の急速な市中蔓延に際してもロックダウン等の行動制限は取らず、重症者数及び死者数に重きをおく事実上の「コロナ共存」戦略へと大きく方向転換。1日あたり数万人の新規陽性者が出る今でも、ロックダウン等の行動制限は一切課されていません。
ワクチン接種率の目標値を国民に示すことにより接種を促し、目標を達成した今、オーストラリアは社会活動、経済活動の正常化へ邁進していると言えます。
オーストラリアの国境オープン
トラベルバブル制度のもと、2021年12月にシンガポール、韓国そして日本に対し限定的に国境をオープンしたオーストラリアですが、2月7日には、2月22日より全世界のワクチン接種完了者に対し国境がオープンされる旨が発表されました。
ただし、オーストラリアでは国(連邦政府)が国境に関する大枠の規制を定め、各州(州政府)が更に細かい規制や州独自の規制を設けるため、この際に国(連邦政府)と州(州政府)の方針が異なることが多々あり、2月22日から一概に海外から全ての州へ入国・入州が可能となる訳ではなく、非常に分かり難い状況下にあります。
西オーストラリア州は7日間の自宅隔離規制を継続していますし、ビクトリア州は2回の接種を接種完了とみなす連邦政府に対し、3回接種を接種完了とすべきではという独自の見解を示唆するなど、足並みが揃っておらず、今後はより一層国と州の意見調整が求められます。
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