長距離路線の客室一新、フィンエアー日本支社長にアフターコロナの戦略を聞く

  • 2022年3月3日

「プレミアムレジャー」にフォーカス
NDCでは日本マーケットに最適な方法を模索

 先月、長距離路線の客室の全面リニューアルを発表したフィンエアー(AY)。2億ユーロを投じ、プレミアムエコノミークラスを新設するほか、ビジネスクラスとエコノミークラスもアップグレードする。AY日本支社長の永原範昭氏に、新しい客室のポイントやプレミアムエコノミークラスの位置づけ、日本路線への期待などを聞いた。(インタビューは2月14日に実施)

永原氏。インタビューはオンラインで実施した。

-改めて、客室リニューアルの経緯やポイントを教えてください。

永原範昭氏(以下敬称略) リニューアルの話が持ち上がったのは2018年です。AYが保有するエアバスA330-300型機は、機齢が10年を超え、モダンにアップデートする必要がありました。また、新たに導入するエアバスA350-900型機も同様の仕様にしていこうということで、プランが動き始めました。コロナ禍の影響で予定より少し遅れてのスタートとなりましたが、お客様が旅に求めるものが高まっていくなかで、それにお応えする意味も含めてのリニューアルです。

 また、最新鋭の機材であるA350は、CO2の排出量が世界の航空機と比較して25%抑えられます。A330についても少しでもパフォーマンスを高めるべく、座席を交換することで機体全体の重量を抑え、CO2の排出削減につなげています。

-現在ビジネスクラスではリクライニングするフルフラットシートが主流ですが、今回導入されるのはリクライニングしないタイプです。

永原 ビジネスクラスについては、これまでのコンセプトである「座席」という考え方を改め、リビングルームのソファに座っているような空間を演出したいという意図があります。

 従来の座席では、リクライニングをすることで180cmから2mのフラットな空間を作っていましたが、今回の座席は、背もたれを動かさない状態でも、横になって休むにも十分な空間を有しています。占有するスペースとしては従来の座席と変わりなく、正に自宅のソファのようなイメージでくつろぐことができます。

新しいビジネスクラスのイメージ

-プレミアムエコノミークラスの位置づけやターゲットについてお聞かせください。

永原 AYとして初めての導入するプレミアムエコノミークラスで主に狙っているのは、コロナ後に増えてくるであろう、少し贅沢な旅を求めるお客様です。これまでにもビジネスクラスで観光旅行に出かけるお客様は一定数いらっしゃいましたが、それに加えて今後は、ビジネスクラスまでは出せないけれどもエコノミークラスよりも贅沢をしたいという、「プレミアムレジャー」という考え方が広がっていくのではないかと見ています。業務渡航に関しても、ビジネスクラスまでは出せずともプレミアムエコノミークラスであればという需要も出てきていますので、レジャーと業務渡航の両面での利用を想定しています。

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