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ドローン、EC、宇宙旅行……来るべき回復期に備え新たな旅行価値を作り出す-エス・ティー・ワールド鹿島義範代表、瀧川雅男取締役

  • 2022年2月1日

旅行業とシナジーのある新規事業を続々展開、多角化経営の基盤に

-ドローンスクールの開校の意図や背景をお聞かせください。
広い練習場と宿泊施設を備える「ソラガク」

瀧川 新規事業の開始にあたっては、社員を含め広くアイデアを募りました。そのなかでドローンは、今後多岐に渡る発展が予想され、旅行業とのシナジーも期待できると考えました。当社は和歌山市に広い敷地を所有しており、空中ドローンを飛ばすことができる環境があります。また三浦市にはダイビングスクールがあり、水中ドローンの練習ができます。そこで、空中ドローンの「ソラガク」と水中ドローンの「ウミガク」、2つのスクールを昨年7月に開校しました。

 ドローンには様々な形態のビジネスがありますが、旅行会社のドローンスクールということで、ドローンを気軽に楽しむ層を広げ、先ほどもお話した通り旅行業にシナジー効果が生まれる取り組みをしていきたいと考えています。例えば「ソラガク」のある和歌山は東京からは遠いですが、航空券なども用意して、週末に1泊2日で実地の練習に出かけられる形を整えています。現在はお客様も6割ほどが関東の方です。

 ドローンの操縦には広い土地が必要で、空港の近くや人口密集地帯では飛ばすことができないなどの制約がありますが、今後は関東圏にもスクールを用意したいと思っています。

-受講生は趣味でドローンの操縦を習いに来る方が多いのですか。

瀧川 現在はどちらかといえば趣味の方が多いです。また、今年中にドローンが国家資格の免許制に変わることが発表されているため、今のうちに民間の認定資格を取得しておくことで、免許制に移行したときに活かせるのではと考えて受講される方も多いようです。(編集部注:2022年1月現在、民間の認定資格で試験の免除があるかなど、ドローンの国家資格の詳細は未発表)

-スクールの詳細をお聞かせください。
瀧川氏

瀧川 授業料は、座学と2日間の実技に交通費や宿泊も含めた最もベーシックなクラスで、19万8000円です。旅行会社が運営するスクールのメリットを感じてもらいたいと考えており、関東発と関西発とで価格は変えていません。授業は基本的にはマンツーマンですが、混載の合宿プランも用意しています。

 昨年の開校以降、「ソラガク」は現在予約中の方も含めて約100名、「ウミガク」は約20名の方が受講しています。「ソラガク」の講師は4名体制で、常時2名が講習を行っています。「ウミガク」は2名体制です。

 空のスクールで使用しているのは、「Mavic Zoom」という比較的大きな機材と、レジャー向けで小型の「Air 2S」という機材の2種類です。自動飛行モードもありますが、スクールではマニュアル操作を練習します。

-水中ドローンはどのような場面で使うのですか。

瀧川 船の底辺や漁業の定置網のチェックなど、現在はどちらかというとビジネス寄りの用途で使われています。水中には無線が届かないため有線ですが、200メートルほどまで潜ることができます。やはりドローンというと空のイメージが強く、海についてはまだ需要が少ない状況ですね。

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