20代社員が振り返る今週のニュース ー今年の政府予算は国内旅行優遇?
今週、私にとって最も学びが多かった記事は柴田氏寄稿の観光庁関係予算決定概要に関する記事でした。恥ずかしながらこれまで該当の資料に目を通したことはなく、もうすぐ観光産業から離れるというこのタイミングになって初めて目を通して見たのですが、なるほどこれは業界に関わる人間なら目を通しておくべき内容でした。
観光庁が発表しているこの資料の1ページ目にある総括表を見るだけでも学びがあります。
例えば、昨年度よりも予算が減っている項目をみると「国際交流の回復に向けた準備・質的な変革」と「交流拡大により豊かさを実感できる地域の実現」が大きく減っています。一方、柴田氏がおっしゃる通り「ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業」「持続可能な観光推進モデル事業」と新規予算が増えています。特に目を引いたのは「ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業」の説明部分で「インバウンドが本格的に回復するまでには時間がかかるため。国内観光需要の掘り起こしが必要」と記載があるところです。どうも全体的にみて、インバウンドに関する部分は中長期的な視点にシフトしつつ、今年は国内旅行にフォーカスしていくという姿勢が見えるような気がします。もしこの読みがあたっているなら、海外旅行に関して年内に大きな回復はないと観光庁が考えているのだろうと思います。(憶測に憶測を重ねていますが……)
ただ、そうであるならば海外渡航専門の旅行会社などは今年も厳しいということになりますし、国内旅行にシフトするのか、もう一年と考えじっと耐えつつそれでも発生する海外渡航の需要を取り合うのか、いっそ旅行業を止めるのかという選択になるでしょう。
観光産業にこだわるならば、狙い目は予算が五倍以上になっている「新たなビジネス手法の~」に関わる事業を始めることでしょうか。特に資料で例で出されている「宿泊事業者+旅行事業者+サブカル」のようなケースは既存の旅行に対する知見が大きく活きそうです。今だとサウナとかはもうメジャーになりすぎた感がありますし、ウマ娘などの人気コンテンツファンにリーチするのがいいでしょうかね。他にも私には想像のつかないマーケットは無限にあるでしょうし、社内で業務と関係ない知見を持っている方がいる会社がこういう時強いのかもですね。
また、DXに関しても予算が前年比98%とほぼ同じ程度の予算が振られています。個人的に興味があるのはテック系なのでDXという単語が出ると過剰反応してしまうのですが、この転職前の比較的時間がある時期に色々と本を読んだりしながらDXについて色々と考えてみました。そして思ったのが「IT化→データ収集→DX」という手順を踏むことでしかDXって無理なのでは? ということです。
昨年最後の当コーナーで少し名前を紹介したFender社なんかも
- 1. 1年かけてデータを集める
- 2. ギターを購入する人の45%は初めてギターを買う人であると気がつく
- 3. ギターを諦めさせないためのサービスを始める
という流れで、ギターを販売するというモノ売りからギターを引けるようになるというコト売りに変革し、ギター販売のフロー型ビジネスからサブスクビジネスでストック型に見事に転換したわけです。
これをDXということに異議がある方は少ないと思いますが、この1つ目のフェーズ、データ収集ができる旅行会社や宿泊施設、観光地がどれだけあるのかということです。データを収集して分析を集めるにはまずIT化するしかないわけですから、ここをまずクリアすれば、初めて何をデジタルで変革するか(=DX)が見えてくるわけです。一足とびにDXしようなんて、無理ってことですね。