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特色の維持と効率化、両立のナローパスに挑む-エア・ドゥ代表取締役社長 草野晋氏

  • 2022年1月14日

ソラシドエアとの共同持ち株会社設立へ準備を進行中
国内・国際チャーターに手応え

-ソラシドエアとの共同持ち株会社を2022年10月に設立する計画ですが、その目的と背景を説明してください。

草野 合意の背景は2つ。短期的にコロナ危機を克服するために力を合わせることと、中長期的なアフターコロナの成長戦略のためです。この戦略を個社で描くより、やはりソラシドエアと一緒に考えた方が良いと判断しました。

-ともに戦略を描く相手としてソラシドエアを選んだ理由は。

草野 第1に地域に根差した航空会社という会社の生い立ち、DNAに共通点が多かったことです。第2に運航路線が競合しないこと。第3にB737という同一機種を運航していること。第4は両社とも羽田に大きな拠点を持っている点でした。これらの理由からグループ化の相手として最適と考えたわけです。協業の話は以前からあったものの、目の前の業務が忙しく進んでいなかったのですが、コロナ禍で加速することになりました。

-人材交流についてはいかがですか。

草野 現在、部門ごとに分科会を設け、両社の100名が作業部会で協議に当たっています。人材交流は当然ながら行いますが、時期や規模は決まっていません。

-草野社長もソラシドエアの高橋宏輔社長(※高ははしごだか)も同じ政策投資銀行出身です。両社長の関係性は話を進める上でプラスに働きましたか。

草野 高橋社長とは銀行時代に同じ部署で働いたこともあり、考え方には共感できますし手腕も信頼しています。そういう意味でマイナスにはなっていませんが、社長同士が親しいことが判断に影響したことはありません。あくまでも多くの関係者で考え、検討しながら進めてきた案件です。

-最後にトラベルビジョンの読者にメッセージをお願いいたします。

草野 コロナ禍により観光に関わる産業は深刻な打撃を受け、借入など大きな重荷を背負ってアフターコロナを生き抜かねばなりません。これを乗り越えるためには、需要を奪い合い価格競争で消耗するのではなく、地域の観光事業者が力を合わせて特色を際立たせ、その魅力に応じた対価をお客様からいただく方向を目指すべきです。例えば全地域がワーケーションの取り込みに奔走するのでなく、冷静に地域の特色と魅力を見極めること。世の風潮に流されず、見極めた特色に集中することが大切です。

 エア・ドゥとソラシドエアは共同持ち株会社設立によりグループになりますが、それぞれの地域に根差した航空会社としての特色を最大限に発揮して切磋琢磨しながら進んでいくこと、観光振興の役に立つことを目指していきます。グループ化することで単に大きくなるのではなく、それぞれ独立した経営と特色を維持したまま進んで行こうと考えています。

 個々の特色を生かしつつ効率化するという「いいところ取り」は難しい取り組みです。しかし難しいからこそ追求すべき。「ナローパス(narrow path)」であってもこれを追求していく覚悟を決めています。

-ありがとうございました。