旅館の良さを新感覚“RYOKAN”で-ONSEN RYOKAN 由縁 札幌 支配人/エリアマネージャー 粂川正氏
コロナ禍は成長を示すための準備期間
利用のハードルを下げて若者や外国人客にも
国内外でホテルやレストラン・カフェ、商業施設、公共施設等、まちづくりにつながる企画・設計・運営を手がけるUDSが展開する旅館シリーズ「ONSEN RYOKAN 由縁」。その2号店となった「ONSEN RYOKAN 由縁 札幌」の粂川正支配人に、コロナ禍中における開業から現在に至るまでの営業状況と、今後の需要復活期に向けた戦略方針について伺った。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
粂川正氏(以下敬称略) 「ONSEN RYOKAN 由縁 札幌(以下、由縁 札幌)」は由縁シリーズの2軒目の施設として2020年8月に開業しました。由縁シリーズの1軒目は2019年5月開業の「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿(以下、由縁 新宿)」で、ターミナル駅近くで展開するビルタイプの施設である点がONSEN RYOKAN 由縁の特徴です。また落ち着いた立地の低層施設が特徴の「由縁別邸 代田」を、東京・世田谷区の代田で展開しています。
「ONSEN RYOKAN 由縁」は、旅館の本質的な要素を現代のニーズに合わせて編集するのがコンセプト。旅館の利用は料金的に敷居が高いと感じていた若者の方や、旅館文化を知らないために利用を躊躇していた外国人旅行者の方も気軽に楽しめる新感覚の旅館を目指しています。
旅館の良さを五感で感じてもらうため、オリジナルの香やBGMで、嗅覚や聴覚でも楽しんでいただくなどの趣向を凝らしています。また客室はコンパクトにし、その分客室数を多くご用意するなどの工夫によって比較的手頃な料金を実現しています。いわゆる正統派の旅館とは異なる部分もありますが、旅館らしさと魅力を感じてもらえる宿泊施設になっていると思います。
粂川 そうなってくれればと期待しています。
粂川 千葉県の出身で、新卒で旅行会社に就職し海外駐在員を務めました。駐在期間が終わった時点で自分の将来を考えたのですが、お客様に直接触れ合える仕事を続けたい気持ちが強く、学生時代のバックパッカー旅行やワーキングホリデーの経験を生かして沖縄県読谷村にゲストハウスを開業しました。7年ほどホステルを経営しましたが、最終的に千葉へ帰ることになり、そのタイミングでUDSを知り、2015年に入社しました。
UDSでは宿泊特化型のホテル「ホテル エディット 横濱」の支配人を務めました。その後、由縁 新宿で由縁の仕事を学んだうえで札幌に赴任しました。
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