Airbnb Japan田邊代表らが登壇、渋谷区観光協会「LOOK LOCAL SUMMIT vol.0」
ワーケーションやリモートワークで変わるライフスタイル
地域活性化で観光業界に求められることとは
コロナ禍で広がるワーケーション、その潜在性は
日本ワーケーション協会は、ワーケーションに関するイベントやワークショップの開催、ホームページなどによる情報配信、マッチングやモニターツアーなどのワーケーション促進事業などを展開。「新しいライフスタイルを増やしていくこと」(入江氏)を目的に活動を展開している。
入江氏は、日本のワーケーションの現状について、「ライフスタイルやワークスタイルの変化を認めていこうという動きと、ワークとバケーションという言葉の意味に縛られているところとに分かれている」と指摘。そのうえで、観光産業では、「バケーションに考え方が寄り、そのコンテンツを考えているため、あまり元の観光と変わらなくなっている」と問題点を挙げた。また日本では、その概念自体、コロナ禍で急に出てきたことから、「ワーケーションの考え方が理解されるには、もっと時間がかかる。5年、10年かけて深まっていくのではないか」と冷静な見方を示した。
ワーケーションとは少し異なる「コワーケーション」の視点でサービスを展開しているのがPerkUP。企業など法人向けに、研修や合宿が可能な施設と、そこで体験できるコンテンツとをワンストップでマッチングする「体験共創プラットフォーム」を展開している。
斉藤氏によると、コロナ禍の2020年度でも企業向け研修サービス市場は前年度比8.5%の4820億円と増加。2021年度も同8.9%増の5250億円が見込まれているという。また、研修・合宿のニーズも増加傾向で2025年度までに3622億円にまで拡大するとの予想。
斉藤氏は、リモートワークの拡大によって、「社員同士の関係性が強まらなくなったという意見が多く、企業研修、合宿のニーズが顕在化している」と指摘。ワーケーションを、「ワーク+バケーション」だけでなく、「ワーク+エデュケーション」「ワーク+イノベーション」の視点で考えている企業が増えていると付け加えた。
ライフスタイルの変化で地域に求められることとは
ワーケーションや関係人口の拡大によって地域活性化を目指す地域は多い。では、地域はその魅力をどう広めていくべきなのか。登壇者の間では、まだ課題は多いという考えで一致した。
日本ワーケーション協会の入江氏は、「日本の地域は、観光のいいところばかりをPRするため、どこも似たり寄ったりになる。その地域の課題も伝えることで、逆にその地域の生活感が伝わるのではないか」と話す。
また、PerkUPの斉藤氏は「コンテンツはたくさんあるが、それを簡単に探せて、簡単に体験できる仕組みはまだまだ」と話し、情報の見える化の必要性を主張した。
Airbnb Japanの田邊氏は「観光に加えて、暮らすような体験を提供していくことが大切」と発言。地元コミュニティやホストが旅行者におもてなしをすることで、地域の魅力は伝わっていくとした。
アドレスの佐別当氏は、魅力を高めるために何か作り出すことは必要ないとの考えを示す。「たとえば、昔から続く地元の味噌づくりを一緒に体験すること。雪かきは地元にとっては大変な日常だが、訪問者にはそれも体験になる」と話す一方、日常生活に近い旅を提供できないところが、観光業界の課題と指摘した。
渋谷区観光協会の小池氏は、「東京の渋谷も同じこと。最終的には人が大切。関係人口創出の中心になるはその土地の人なのだろう」と話したうえで、「『関係人口案内所』のような施設を作り、渋谷区内の人と関係を築ける機会を創出していきたい」と将来的なビジョンを示した。