Airbnb Japan田邊代表らが登壇、渋谷区観光協会「LOOK LOCAL SUMMIT vol.0」
ワーケーションやリモートワークで変わるライフスタイル
地域活性化で観光業界に求められることとは
渋谷区観光協会は、日本全国の観光地・組織のネットワークづくりを目的として、「Think local, Share knowledge, Do action(地域の繋がりが、ニッポンの観光のミライを変える)」をテーマに、「LOOK LOCAL SUMMIT vol.0」を開催。第1回となる今回は、渋谷と友好関係にある10都市を連携地域とし、それぞれの地域における観光協会やDMOなどが持つナレッジの共有や連携のメリット、気づき、発見、観光人材育成など5つのテーマでトークセッションを実施した。
そのうち、「ポストコロナで変わるライフスタイルと観光産業のこれから」と題したパネルディスカッションでは、アドレス社長の佐別当隆志氏、Airbnb Japan代表取締役の田邊泰之氏、日本ワーケーション協会代表理事の入江真太郎氏、PerkUP共同設立者&COOの斉藤晴久氏が登壇。渋谷区観光協会事務局長の小池ひろよ氏がモデレーターを務め、ワーケーション、関係人口、多拠点生活などをキーワードに新しい旅のカタチについて意見を共有した。
関係人口の創出に貢献するアドレスとAirbnb
月額4万4000円の定額制で多拠点生活サービスを展開するアドレスの佐別当氏は、「コロナ後にユーザー傾向に大きな変化が現れた」と話し、新しい暮らし方の傾向を紹介した。まず、ワーケーションやリモートワークの浸透によって、「ひとつの拠点で1週間から2週間の長期滞在が増えた」。同社サービスの利用者は、首都圏在住の20代から40代が中心(72%)で、家族やカップル、フリーランスのユーザーが多かったが、コロナ下では会社員の会員も増え、全体の40%を占めるようになったという。
また、第2の故郷を作りたいという需要が、特に首都圏を中心に増加。週末別荘としての使い方や、将来の移住先探しに向けた足がかりとして利用する会員も増えているという。
アドレスでは、経済的価値だけでなく、社会的価値も重視。同社が実施した「社会的インパクトリポート」調査では、20.4%が「地域で生産活動をしたい」、37.6%が「移住に意欲のある」、31.2%が「心の拠り所ができた」、83.9%が「幸福度が高まった」と答えた。アドレスでは現在のところ、全国に220件以上の物件を展開しているが、佐別当氏は「地方での観光以上、移住未満という関係人口は今後も拡大していくだろう」と期待をかける。
Airbnb Japanの田邊氏は、同社調査から、コロナ禍で世界的に起こった変化として3つのトレンドを説明。1つ目は、リモートワークの拡大による場所と時期の柔軟性の拡大。同社は今年5月に新たな機能として、柔軟な日付設定による検索を加えたが、その検索数は5億回以上にのぼっているという。そのなかで、週末以外の予約が増えており、月曜日と火曜日の予約が最も増えているのが特徴と紹介した。
2つ目は、目的地が広範囲に広がっていること。田邊氏によると、コロナ禍で少なくとも10万の都市で1回予約が行われ、そのうち6000の都市で初めて予約が行われた。「地方や近場での予約が増えているのが大きな特徴」と話す。
3つ目は、長期滞在の増加。全体に占める28日以上の予約の割合が2019年の14%から2021年第3四半期では20%に拡大した。田邊氏は「旅行と生活との境界線が曖昧になってきている」との考えを示した。
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