7割が海外客だった京町家旅館、ミレニアル世代に支持される理由とは
SNSを通じたイベントで若年層にリーチ
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京都で町家旅館を展開するNazunaは、インバウンド需要が失われたなか、現在も60%を超える稼働率を確保している。ミシュランガイドにも掲載されている人気の高級旅館で、コロナ前は70%が海外からの宿泊者だったという同施設は、いかにして国内の宿泊者を増やしたのか。代表取締役の大門真悟氏に聞いた。
大門真悟氏(以下敬称略) 私たちは伝統的な建築物をリノベーションした宿泊施設を展開しています。現在は旅館型の「Nazuna」と一棟貸しの「Kiraku」という2形態の宿泊施設があります。Nazunaは京都と宮崎に施設があり、京都では京町家、宮崎では武家屋敷を宿として運営しています。客室は露天風呂付きが多く、カップルを主たるターゲットに置いています。建築物としては古いものですが、水回りやアメニティなど、設備面は現代的にリノベーションしています。
「Nazuna 京都 椿通」は、もともとマンション用地として使われる予定の土地でしたが、現在は我々が宿として路地ごと運営しています。京都の場合、古い建物は取り壊されて駐車場になることが多いのですが、私たちは古いものを残しながら現代の要素も取り入れていくことを大切にしています。
大門 当社は最年長が35歳で、私が33歳。30前後の社員がほとんどです。私は以前サラリーマンをしていて、2014年にインバウンドの旅行会社を始めました。主に中華系の訪日客のプラン作りを行っていたのですが、そこから宿泊事業に移行していきました。
大門 10月の稼働率は70%に届く見込みです。客室平均単価は6万円という高い水準をキープしています。私たちはターゲットとしているカップルのお客様に来ていただくために、主にSNSで発信を行っています。そこが他の事業者と異なる点で、SNSでのマーケティングについてはコンサル事業も請け負っています。
実はコロナ以前はお客様が向こうから来てくれる状態で、マーケティングに関しては何もしていませんでした。SNSについても以前は片手間で更新する程度でしたが、現在はホームページのような位置づけになっています。SNSでイベントを開催して集客するというマーケティングにいち早く取り組めたことで、今の稼働率があると考えています。お客様の6割から7割がSNSで知って訪れてくださっています。インスタグラムが圧倒的に多いですが、最近ではTikTokも増えてきています。
客層の中心は20代から30代で、記念日にご利用いただくことが多くなっています。コロナ下ということもあり、緊急事態宣言が出ると上の世代の方はキャンセルになることが多いため、ブランドターゲットよりもセールスターゲットを若く設定していた結果でもあります。
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