スマートロックで宿泊施設のニューノーマルを支える-構造計画研究所 池田修一氏

コロナ禍で加速したチェックイン新時代への動き
民泊から高級ホテルまで広がる利用対象

 宿泊施設におけるチェックインやカギの受け渡し作業を省力化するスマートロック・システム。ホテルや民泊での導入が始まっているが、このシステムを提供するのが構造計画研究所だ。同社の池田修一氏は、スマートロックは単なる省力化やコスト抑制のためでなく、非対面・非接触というニューノーマルを支えるインフラの1つとして、その価値が高まっていると指摘する。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

構造計画研究所 RemoteLOCKエバンジェリストの池田修一氏

-スマートロック・システム「RemoteLOCK」の開発経緯から教えてください。

池田修一氏(以下敬称略) 「RemoteLOCK」はもともと米国のLockState社の製品で、同社は10年前からAirbnbとシステム連動するグローバルパートナーとして、スマートロックを提供しています。同社は、2017年に民泊新法が成立し民泊市場が本格的に拡大の兆しを見せていた日本市場への参入を考えていました。当時、構造計画研究所がかかわる別事業を通じて交流のあった同社CEOからの打診を受けたのが当社で、日本国内における独占的販売権を有する総代理店及び販売・サービスの提供元になりました。また国内販売にあたっては、建築金物・ロックメーカーのウエスト社との共同開発により国内製造の「RemoteLOCK」を提供しています。

 当社は、名称から分かる通り建設関係をビジネス領域とする企業です。具体的には建築関連のシステム開発等のソリューション提供や、マーケティングあるいはデータマイニングのコンサルティングを主力事業としてきましたが、次なる事業の柱としてIoT分野における新規事業を育てる方針を打ち出しました。「RemoteLOCK」はそうした取り組みの一環です。

 私はこれまでデータマイニングやマーケティングのコンサルを担当してきましたが、社命で新規事業の担当となり「RemoteLOCK」事業の立ち上げ責任者となりました。クラウド利用のサブスクビジネスもハードウェアを扱うビジネスも、当社にとって初の試みです。その意味では面白くもあり難しくもあるというのが正直な感想です。

-「RemoteLOCK」の仕組みや特徴を説明してください。

池田 民泊の場合、カギの受け渡しが課題の1つで、わざわざホストとゲストが待ち合わせてカギを手渡しする方法がかつては一般的でした。しかしスマートロックを導入すればカギの受け渡しを含む手続きの無人化、省人化、非対面化が図れます。「RemoteLOCK」はWi-Fi型スマートロックで専用サーバーや配線工事は不要。複数のドアと入室者をクラウドで一括管理できるため、いつどこでも入室管理を行うことができ、遠隔で入室権限を発行したり、入室履歴を把握できたりします。つまり、いつ、どこからでも入室管理ができるわけです。予約システムと連動させ、予約時にカギの暗証番号を利用客に伝えることができ、利用客はその暗証番号で共用ドアや客室ドアを解錠し入室できます。

-導入にかかる費用はどれくらいですか。

池田 本体費用と設置費用でイニシャルコストが1箇所当たり10万円程度。そのほかクラウドシステムの利用料を月額で設定しています。

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