星野リゾート、各ブランド強化で自立化へ-GoToは「シンプルに」、2021秋発表会
GoToは「シンプルに」、都市部ホテルの救済も
記者会見では星野氏が再開に向けて議論中の「GoToトラベル」キャンペーンについても言及。前回のGoToトラベルを振り返り、「シンプル&継続が重要。盛り上げるためのGoToではなく、需要の下支えというコンセプトが大切」と強調した。
GoToトラベルの仕組みについては、前回は事務局や旅行会社、宿泊施設などでの事務作業が煩雑でコストもかかり、消費者への説明にも苦労したことから、分かりやすい仕組みが重要との考え。また、GoToトラベルは大手企業に有利で中小企業には恩恵がなかったという指摘があることについて、実際は観光地や温泉地に旅行需要が集中し、大都市・地方都市のビジネスホテルが苦戦したことを説明。システムが複雑化する可能性もあるとしながらも「『大都市』と『観光地』で分けたほうが現状にあった制度になる」と主張した。
さらに、「盛り上げすぎるとGoToが感染拡大につながったという指摘が起こりやすく、中止になりやすい。下支えのためには補助率を下げ、期間を長くすることも選択肢の1つでは」と持論を展開。キャンペーンの急な中断による宿泊キャンセルが発生しないよう、継続的な制度設計が重要であると強調した。
また、同氏はGoToトラベル再開への期待から旅行の買い控えが起こっていることを指摘。対策として、GoToトラベル開始前に公式サイトで予約した旅行者には、GoToトラベル適用期間の宿泊であればキャンペーン料金を適用することを明かした。さらに万が一GoToトラベルが一時停止になった場合も、GoToトラベル予約時の料金のまま宿泊可能にするという。
このほか、同氏はコロナ禍での需要動向や今後の取り組みについて改めて説明。コロナ禍当初は感染者数の増加とキャンセル数は連動していたが、4波、5波ではあまりキャンセルが発生しなかったことを指摘し、「お客様にコロナ禍における旅行にすごく大きなリスクはないということを理解していただいたのでは。また、コロナ対策宣言を取ったことでコロナ禍における利用方法を理解してもらえたと思う」と話した。
今後は訪日需要が戻るまでは今まで通り国内旅行市場に注力する考えで、全国を11の商圏に分けてマイクロツーリズムの取り組みを強化する方針。特に北海道や九州については人口が多く近場の旅行が盛んであり、業績もよいことから引き続き期待を示した。
訪日需要については、来年初頭から春にかけて、日本で承認されたワクチンを使用している国から双方向の移動が再開されるとの見通し。星野氏は、訪日需要の4分の3を占める中国・韓国・台湾・香港は国内未承認のワクチンを使っているので、入国後の隔離免除は難しいとの見方を示した。さらに、隔離は承認されたワクチンを利用している欧米から免除されるとの予想から、欧米からの訪日旅行が最初に戻るとの考えを述べた。その上で星野氏は「22年には19年の15%、23年には40%、大阪万博が開催予定の25年には100%に戻るよう、国全体で取り組むべき」と話した。