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取り残された海外旅行専門店の今-RT Collection 柴田真人氏寄稿

  • 2021年10月20日

 早いものでこのコラムも10回目となりました。今回は「取り残された海外専門店の今」について書いてみたいと思います。

 私は海外旅行専門の旅行会社で商品企画や仕入れ業務に15年以上携わってきました。スマトラ島沖地震やタイ空港占拠、クーデター、SARSなど有事が発生する度に旅行需要が落ち込み、耐えては復活をしてを繰り返してきました。とはいっても比較的短期間で需要が回復して、スタッフの出向や解雇、支店の閉鎖をしなければならない状況にはなりませんでした。今回の新型コロナの影響はすでに1年半以上続いており、海外旅行市場に限ってはまだ時間がかかる見込みとなっています。

 海外専門店がコロナ禍になってから国内旅行の販売を行う事例は多々ありましたが、国内旅行商品の仕入れのネットワークやマーケットを十分に持っていなかったため、商品企画をしても十分な結果を得ることはできていません。また、この状況下では大きな広告予算を使うこともできないため、多少の受注ができたとしても社員全員分の人件費やオフィスの固定費を賄えるほどの利益はあがっておらず、赤字を少しでも減らすというような状況が続いています。

 そのため、助成金等を使いながら、社員の1年間の出向や解雇、国内及び海外支店の閉鎖、本社の移転を行うなどをしていますが、苦しい経営状況が続いています。また、身近な知り合いにもこの10月から1年間の休職になる人がいて、今もなお厳しい状況が続いていると改めて痛感しています。経営が比較的スリムなブティック系の海外旅行専門店ですら、経験豊富なトラベルコンサルタントが他業種へ転職しており、旅行業界の人材が失われていることもあります。

 一方で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、国内の経済活動が少しずつ活発になり始めています。また、各都道府県では宿泊の県民割も続々と再開されており、国内旅行需要は再び高まってきています。海外専門店の旅行会社で働いている人にとっては、世間や他の業界の経済活動が再開し始めるのを見ると、未だに十分に働けない状況や海外旅行再開の見通しが立っていない状況に対して、気持ちが落ち込むこともよくあります。

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