コロナ収束後に向け、地域を巻き込んでインバウンド誘致を進めるー徳島ホテル アオアヲ ナルト リゾート総支配人 高橋裕二氏
家族連れをターゲットにアクティビティを充実
重要なのはホテル単体ではなく業界全体で行動を起こすこと
開業30年を迎えた徳島県鳴門市の老舗リゾートホテル・アオアヲ ナルト リゾートは、これまで地産地消バイキングや職業体験をはじめとするアクティビティなど、さまざまな挑戦をしてきた。現在は鳴門や四国の観光を盛り上げる活動に力を入れている総支配人・高橋裕二氏に、地域観光に取り組む目的や今後の展望を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
高橋裕二氏(以下敬称略) 当ホテルは1991年に「マジィ リゾート ナルト」という名前で誕生し、1994年にはブランド価値を高めるため、沖縄にあるグループホテルと名称を揃え「ルネッサンス リゾート ナルト」へと変更しました。その後マリオット・インターナショナルとのフランチャイズ契約を経て2019年にリブランドし、「アオアヲ ナルト リゾート」となりました。背景として、旅行会社やOTAなどの普及により、ブランドに関係なく、個々のホテルが評価されるようになったことがあります。これまでルネッサンスブランドとして営業してきましたが、私どもも1つのホテルとして評価されるべきだという考えに至り、またホテルで働くスタッフも新たな気持ちでスタートできるだろうということでリブランドを決めました。
私自身は徳島生まれで、地元の大学を卒業後、木工業に携わっていました。黙々と材木とコンピューターに向かう仕事をしているうちに、自分は人と接するのが好きだと改めて実感し、また業務上の事故で大怪我をしたこともあり、当ホテルのオープニングスタッフ募集の情報を知り応募しました。入社後オープンまでは、沖縄のグループホテルでドアマン、ベルマン、フロントなどを経験し、当ホテルのオープンに合わせて鳴門へ戻ってきました。その後はフロント、料飲、営業など現場での仕事を一通り経験して現在に至ります。
高橋 私どもの会計年度は5月スタートで、コロナの影響を全く受けていない2018年度の年間稼働率は73.1%でしたが、2019年度は3月、4月に大幅に稼働が下がった影響で62.6%、2020年度は46.7%という結果でした。スタッフのリストラはしないというオーナーの意向もあり、人件費なども含めてもう少し凌いでいかなければなりません。
ADRに関しては、2018年度1万8971円、2019年度1万9076円、2020年度2万1172円と上がっており、これは戦略が功を奏しました。コロナ禍での旅行で求められているのは、安価でそれなりの料理ではなく、地元の美味しいものを楽しむことではないかと考え、単価を若干上げて、料理を充実させ還元することにしました。このような思いがお客様に伝わったかどうかは分かりませんが、結果として各OTAでのレビューポイントも良くなりました。
一方、バンケットではウェディングはほぼなくなりましたが、修学旅行のランチや夕食などでカバーし、バンケット全体でコロナ前と比較して47%という結果です。
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