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韓国の「今」を駐在員の視点から-軌道に乗り始めたワクチン接種、ウィズコロナ社会への議論が進む

 韓国でも7月から新型コロナウイルス感染者増加の第4波に見舞われ、日本等の他国と同様、より感染力の強いデルタ変異種への急速な置き換えが進んでいます。新型コロナウイルス防疫規制は、ソウル首都圏において7月12日から最高レベル4が実施されていますが、太田・釜山・済州島でも首都圏に続いて防疫レベル4に引き上げられて現在に至っています。防疫専門家は、現在のレベル4を9月末まで維持すべきとの見解を示しています。

 韓国内における、現在の感染状況、ワクチン接種の進捗、ソウル市内・空港の様子などを現地ソウルよりレポートいたします。

ソウル鐘路区3街の臨時PCR検査所。予約不要、無料でPCR検査可能。クラスター発生場所、各保健所等、市内のいたる場所に設置されています。

現在の新型コロナウイルスの感染状況

 9月中旬の新規感染者数は、全国で1800人から2300人、そのうち首都圏で検知された新規感染者の占める割合は全体の70%程度となっており、首都圏における感染の広がりが中心であることがうかがえます。 デルタ株を含む変異株は、感染者の93%前後と急速に増加、他国と同様にデルタ変異株への置き換えが、ここ韓国でも進んでいます。

 9月14日現在、感染者数にはやや下降傾向が見えてきましたが、まだ高い水準を維持したままとなっています。更なる感染者数の減少と、ワクチン接種の進捗による規制行動緩和、そしてウィズコロナへの出口戦略の策定が望まれます。

韓国全体発生統計(2021年9月14日現在) CoronaBoard

感染者死者隔離解除致命率総検査者検査中総陰性結果
27万5910人2367人24万7647人0.86%1379万0229人91万4400人1259万9919人

ワクチンの接種状況

 韓国におけるワクチン接種は、今までネックとなっていたワクチン供給が8月中旬には解消されて、速度は加速してきました。現在は、人口の70%の接種が完了する時期として、1次接種を9月20日からの秋夕連休(旧盆)前まで、2次接種を10月末までとし、11月中旬には韓国国内で集団免疫を形成することを目指しています。

 ワクチン接種の進捗状況は、50歳以上の中高齢者以上の2次接種がほぼ終了段階に入り、現在は20歳から40歳代を中心に進めています。現在の接種回数とワクチンの種類は下記の通りです。※人数は万単位に四捨五入、パーセンテージは小数点以下を四捨五入

【接種回数】
総接種回数:約5312万人 約103%
1次接種者:約3398万人 約66%
接種完了者:約2049万人 約40%

【ワクチンの種類】
アストラゼネカ:約2141万人
ファイザー:約2633万人
ジョンソン・エンド・ジョンソン・ヤンセン:約134万人

ウィズコロナ社会への転換は

 防疫規制に従った営業時間や集合人員の制限・営業禁止期間の規制のため、飲食業などの個人零細企業に1年半以上続く経済的ダメージは甚大で、災難支援金のみでは危機を乗り越えることはできず、休廃業は増加傾向にあります。これらの経営者は、新規感染者よりも重症化する患者数を重視するウィズコロナ社会への転換を強く要望していましたが、政府関係者間でもウィズコロナ社会への転換をすべしとの意見が出始めてきています。

 一方政府関係者には、ウィズコロナという用語自体が感染防止を疎かにし、防疫への緊張感低下につながるという慎重な意見もあり、正式な新型コロナに対する戦略の転換の発表には至っていません。

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