新型コロナの波にハワイはどう向き合う?星野リゾート サーフジャック ハワイに聞く

 この夏、米国本土からの観光客で賑わったハワイ。しかし、デルタ株による感染再拡大で、ハワイ州のイゲ知事から渡航自粛が呼びかけられている。そんな状況下だったが、自粛要請前に米国本土から予約していた旅行で航空券もキャンセル不可だったことから、8月末にホノルルに滞在。新型コロナの波のこれまでとこれからどう立ち向かうかについて現地ホテル担当者に生の声を聞いた。

セールス&マーケティングマネジャー唐川隆一氏(左)と営業・マーケティング担当バイスプレジデント有田(サム)亜佐美氏(右)

 現在、米国本土からハワイ州への渡航には、ワクチン接種を完了していれば日本からの渡航のようにコロナ陰性証明は必要ないが、ハワイ州の「Safe Travels Program(セーフトラベルズプログラム)」に健康状態や渡航情報を事前登録し、出発24時間以内に健康状態の再確認の回答をし、取得したQRコードを空港到着時に提示する必要がある。

 今回、滞在したのはホノルルの中心地に位置する「星野リゾート サーフジャック ハワイ」(以下サーフジャック ハワイ)全112室のレトロ・ブティックホテルで、星野リゾートの海外3軒目、米国展開第1号の施設となる。フレンドリーなスタッフとサービス、館内を数々のハワイで活躍するアーティストの作品が飾り、ミッドセンチュリーハワイの雰囲気がとても居心地がいい。

印象的なメッセージが描かれたプールを前に、ソーシャルディスタンスをととって毎夕にライブミュージックを開催

 サーフジャックハワイは、2020年1月15日に星野リゾートが運営を引き継いだホテル。まさに年間約1000万人が訪れる世界有数の観光地ハワイ州が、新型コロナの波を受け始める数ヶ月前である。その当時を振り返ってセールス&マーケティングマネジャーの唐川隆一氏は「2019年の当ホテルの販売室数の約半数は米国以外のお客様でしたが、2020年3月以降は海外からのお客様は皆無となりました。日本からのお客様については、昨年10月からは、PCR検査の陰性証明があればハワイでは自己隔離免除で旅行をすることが可能となりましたが、それでもまだハワイ州への全訪問者数の1%未満なのではないでしょうか。」と昨年からの状況について述べた。

 そんな状況下でまず着目したのは、星野リゾートの日本国内施設と同様、マイクロツーリズム商圏のカマアイナ(ハワイ語でハワイに住む人)だったという。「いろいろな活動が制限されているコロナ禍において、ハワイ州内でも心身のリフレッシュを求め、隣島からオアフ島への旅行やオアフ島在住者が旅行者のようにワイキキに滞在するステイケーションの需要が高まると考えました。(唐川氏)」

 これに加えて重要な市場だと考えたのが、転属に伴い一時的な住居を求める米軍関係者だ。これらのマーケットそれぞれのニーズを把握し、従来のサービスの見直しをしたという。例えば、移動手段は自家用車が多いことから駐車場代を無料にしたり、愛犬の宿泊料金の無料化や大きさの上限撤廃などドッグフレンドリーのサービスを強化。なかでも自己隔離期間中の愛犬の散歩代行は「ユニークなサービス(唐川氏)」として、各市場のニーズを把握し、柔軟に対応することで、現在まで休業することなしに営業をおこなっている。

 こうしたニーズ対応に加えて、安全管理や3密回避については、ハワイ州やホノルル市郡のプロトコルに則したサーフジャック ハワイの「Safety Pledge(安全・衛生対策)」を設けて、お客の安全な滞在とスタッフの健康・安全の確保の為に取り組んでいる。例えば、館内でのマスク義務付けや、フロントデスク前に仕切りを設置することでお客様とスタッフ間に6フィートの間隔を守って接客している。

フロントデスクには、シールド板の代わりにお客様とのコミュニケーションもとりつつの安全管理に間隔を取る方法で

 また唐川氏は「安全対策を徹底しながらも、サーフジャック ハワイならではの体験をどのように継続して提供できるかを模索してきました。毎晩、地元のミュージシャンが演奏する『Mahina Lounge Live!(マヒナ・ラウンジ・ライブ!)』では、屋外プールに面した場所での開催に変更しました。ヘッドフォンから流れてくる70年代〜80年代の曲に合わせて踊るダンスイベント『Old School by the Pool: A Silent Disco(サイレント・ディスコ)』では、ソーシャルディスタンスを保ち、マスク着用を徹底することで、コロナ禍でも安全に楽しめる環境を提供してきました」と様々な工夫を語ってくれた。