グアム政府観光局、ワクチン接種率80%超で旅行者受け入れ体制先行、PCR検査費用もサポート-日本代表 金子宗司氏

  • 2021年9月3日

「Air V&V」を通じてグアム旅行のロングステイ化に期待
販売サポートキャンペーンやプロモーションは10月以降に強化

 日本人海外旅行のメジャーデスティネーションの中でもいち早く、旅行者の受け入れに関し積極的な施策を打ち出してきたグアム。それらの施策に対する反応や受け入れ体制の現状、さらには次なる一手について、グアム政府観光局(GVB)の金子宗司日本代表にうかがった。(インタビューは8月11日に実施)

グアム政府観光局日本代表の金子宗司氏
-グアムが取り組むワクチンツーリズムのプログラム「Air V&V」が注目されていますが、市場の反応はいかがですか。

金子宗司(以下、敬称略) 6月下旬のプログラム発表以降、海外旅行に困難な状況にもかかわらず100件以上の問い合わせがあります。GVBに直接来たものだけでこの件数です。意外な内容としてはタイやインドネシアに現地法人を持つ日本企業から、現地日本人をグアムでワクチン接種させたいとの相談もありました。問い合わせが続いている事実から、ワクチン接種とバケーションを同時に楽しみたい日本人が数多くいることを理解できました。

 ワクチンツーリズムは対象国や市場におけるワクチン接種状況に影響され、接種が遅れている国や市場で需要が多い傾向があります。「Air V&V」も接種が遅れ気味な台湾からの参加希望者が集まっているようです。「Air V&V」は日本在住の米国人を対象に始まった取り組みで、GVB本局の「ぜひ日本人も利用できるプログラムに」という強い意向で日本が対象に加わった経緯があり、是非ともご利用して頂きたいと思います。

-改めて「Air V&V」について説明してください。
「Air V&V」の対象者は満12歳以上の個人

金子 「Air V&V」はワクチン(Vaccine)接種とバケーション(Vacation)の楽しみを両立するという意味を込めて命名されました。多くの旅行者が手軽にプログラムを利用できるよう現地の医療サービス(ワクチン接種やPCR検査など)、移動・送迎、指定ホテルへの宿泊手配などをセットにしたオールインワンパッケージを用意しました。

 またGVBでは日本市場での利用促進を図るため、日本の旅行会社に働きかけランドパッケージの造成を提案。グアムまでの往復航空便を組み合わせた旅行商品化も促しました。その結果、OTAや一部旅行会社で「Air V&V」の商品化が実現し販売されています。

 「Air V&V」を通じて、日本人旅行者のグアム旅行の発想転換も図りたいと思います。グアム旅行は短い滞在時間中に内容を詰め込んで楽しむのが主流でした。しかしワクチン接種をしてバケーションも楽しむという体験を通じて変えていきたい。あるいはワクチン接種後の滞在期間にテレワークし、グアム滞在と仕事の両立が可能だと実感できれば、グアム旅行の固定概念を脱するきっかけになります。

 よりゆったりと海や自然を満喫する発想に転換できればと期待しています。グアム旅行は3泊4日が売れ筋で全体の7割近くを占めます。この滞在期間を4泊、5泊、6泊へ延長し、ロングステイ化を図ることはGVBの大きなテーマの1つでもあります。

-コロナ禍の状況はなかなか好転しませんが、業界内では海外旅行の回復はグアムやハワイからといった期待も聞かれます。

金子 GVBとしてはすぐにでも海外旅行再開を望みたいところです。7月上旬から台湾のワクチンツアーがスタート。韓国は7月1日から帰国後の14日間の自主隔離要請を撤廃し、7月31日からはLCCのグアム便の定期運航を再開しています。

 グアムは入国時の自主隔離免除の条件をワクチン接種者としてきましたが、7月4日以降は陰性証明があれば隔離を免除する措置を開始しました。発表があった6月30日以降、問い合わせが激増しておりGVBの入国関連ページには1週間に2000件ペース、8月上旬までで7500件以上のアクセスがありました。これほど集まったことに驚きました。また直接GVBオフィスを訪れ「もう我慢できない」と吐露する方もいました。グアム旅行の再開を待ち望んでいた人やグアムファンの存在を実感する嬉しい体験でした。

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