旅を日常に「インストール」する? 「事業再構築に向けた勉強会」レポートvol.3
7月の発行人コラムで参加者を募った「事業再構築に向けた勉強会」の様子を5回に渡ってお届けする本企画、第3回では日常の延長として旅の新しい形を探っていく。オチなし、結論なし! 読んで真似をしてみても、明日から稼げるということは決してない。だが、試行錯誤を重ねながら挑戦を続ける彼らの姿が、何かしらの発見や閃きに繋がることはある……かもしれない。
- vol.1 ぶっちゃけ今の状況は? 旅行者と土地との繋がりはどう変わる?
- vol.2 旅行者がデスティネーションを選ぶのか、デスティネーションが旅行者を選ぶのか
- vol.3 旅を日常に「インストール」する?
- vol.4 移動と宿と食の分配率
- vol.5 「団体さん」を再構築、本気で別事業をやってみた人の話
- オダギリサトシ氏
株式会社インプリージョン 代表取締役
大阪への観光客誘致をする会社の社長兼日本全国の観光まちづくりアドバイザー兼日本中に友達のいる「ふるさと」を作るプロデューサー - 鶴田宏和氏
鶴田ホテル 経営企画室長
別府の老舗旅館の一人娘と結婚して婿入りした人兼音楽イベント企画会社の社長
- 大賀圭一朗氏
サクラbar オーナー
北新地の飲食店店長や色々をしている人 - 高田直也氏
株式会社神姫トラベル 代表取締役
バス会社系列の旅行会社の社長をしている人
- 矢追剛氏
株式会社リベロヴィアッジ 代表取締役
海外業務渡航一筋の旅行会社の社長兼唐揚げ屋の店長をしている人 - ファシリテーター
岡田:トラベルビジョン発行人
【会場】大賀氏がオーナーを務める「サクラbar」(感染対策をした上で実施)
私も日本中に行くけど、「この町は○○がコンサルに入ってこうしたな、先週行ったあそこと一緒だな」と分かるようになっちゃう。地元の人にとっては新鮮でも、あちこち行っている旅行者にとっては既視感がある、ということはありますね。
ローカルは観光資源を開発しようという動きが多いけど、上手くいっているところばかりではないですよね。
それがお土産物に出ている。
どこに行ってもジャムがある!(笑)。「ご当地モノ」とか言っても、その地域の人がほんまにそれを日々食ってんのか? というのが気になる。実際聞いてみても、「あぁ、仕事で先月試食したね」とか(笑)
私が思うのは、お土産って旅での出会いを日々の生活にきちんとインストールできるものであるべきかなということです。思い出の押し付けじゃなくて、その人の暮らしをより豊かにできるものとの出会いになる小売であるべき。
成功事例である「中津からあげ」が東京や大阪に受け入れられるというのは、日々食べられているからということでもありますよね。それが最低条件でもある。そういう発想で見てみると、実は衣食住いくらでもあると思います。
寝ることとお風呂に入ることは最たるもので、宿をやっていても今まで意識していなかったんですが、宿泊代金の対価として提供している時間の中には睡眠時間が必ず入っているのに、眠ることに対して宿の意識が低すぎるんじゃないかと気づいて。家以外の場所で眠るという体験は、一部の仕事を除けば宿か病院くらいしかないですよね。でもホテルって、とりあえずグレードだけを気にしてシモンズのベッドを入れるとか枕を選べるとかの方向性に走りがちで、当人にとって本当の意味で睡眠の質が上がっているかということは考えていない。だからそこに関わる体験を商業化することが、宿から一歩別の段階に進むための近道なんじゃないかと思ったわけです。