コロナ機に諦めていたネット販売が爆発、物産展からシフトチェンジ-五島市物産振興協会インタビュー

豊かな自然が育んだ安心・安全な特産品を全国へ

 九州の最西端に位置し152の島々からなる五島列島のうち、南西部の62の島々が長崎県五島市だ。島に残る教会群は世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に認定され、来島者はその豊かな自然と異国情緒を感じる風景に魅了される。しかしコロナ禍で観光入込客数は半減し、島の名産品の認知に努める五島市物産振興協会もさまざまな影響を受けているという。五島市物産振興協会事務局長の松本英将氏、五島市役所の青野久哉氏に現状やコロナで起きた変化について話を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

左から五島市役所の青野氏、五島市物産振興協会事務局長の松本氏
-まずは五島市物産振興協会の紹介をお願いいたします。

松本英将氏(以下敬称略) 一般社団法人五島市物産振興協会は2012年6月1日の設立で、それまでは前身の任意団体「五島の観光と物産展実行委員会」の事務局を五島市が担っていました。私はもともとは五島市の職員で、市から派遣されて協会の事務局長を務めています。

 任意団体時代、島内での売上が徐々に落ちていたのを機に、島外から外貨を稼ぐため物産展を開催するようになりました。その際任意団体だと口座開設できないという問題が浮上し、協会の設立に至りました。

-リアルでの物産展ということですね。

松本 そうです。当時は特に百貨店の催事場でした。イメージしやすいのは北海道物産展だと思いますが、百貨店の上階での物産展というのは会場が広く、その会場を埋めるだけの業者数を五島市だけで集めるのは難しいものがありました。そこで百貨店の地下催事場を狙い、全国で物産展を開催していました。

 物産展を主軸に事業を広げていくなかで、飲食店やスーパー、卸業者などとも取引ができるようになりました。そうして販売チャネルが広がり、現在は物産展だけでなくギフト事業、ネット事業、卸事業、小売り事業の5つの事業を柱としています。

 また、当協会は地元の物産関連事業者の売上拡大や名産品の認知度向上に加え、雇用の場の確保も目的としています。

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