ニューヨークの「今」を駐在員の視点からーニューヨーク旅行のお土産はワクチン!?

ワクチンパスポート

 ニューヨーク州は、州内会場にてワクチン接種を受けた人々が接種済み証明として利用できる“エクセルシオールパス” (デジタルワクチンパスポート)をリリースしました。ファイザー社製とモデルナ社製は2回目、ジョンソンエンドジョンソン社製は1回目の完全接種後14日間経過したのちバーコードが発行できます。

 6月初旬現在、ニューヨーク州内プロスポーツ・イベント会場では各イベント催行主の判断でワクチン接種が完了している観客とそれ以外の観客に対応しています。野球ヤンキース主催試合ではワクチン完全接種から2週間経過した観客はキャパシティ制限ない座席エリア、完全接種から14日経過していない観客及び未接種の観客はキャパシティ制限した座席エリアへ誘導する措置をとっています。エクセルシオールパスのQRコード読み取り機械がヤンキースタジアム、シティフィールド、バークレイズセンター、マディソンスクエアガーデン等に設置され、完全接種済み証明の方法とする取り組みが始まっています。完全接種済み証明はアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の記録カードでも可能です。

ニューヨーク州発行のワクチン接種済み証明、エクセルシオールパス。スマホアプリに入れて持ち歩ける。

 エクセルシオールパスは現状ニューヨーク州内のみで有効。さらには、CDCの記録カードも米国内でのみ有効と、国を超えて国際的に機能するワクチンパスポートの規定は未だ決まっていません。欧州(EU)は2021年夏からワクチン接種済みの者に限りアメリカ人観光客の受け入れを開始するとされ、その際にはCDCの記録カードを接種済み証明として有効とするのが有力と米国内メディアでは報道されています。ワクチンパスポートの導入はワクチン接種していない人々や接種しない方針の人々の行動を制限し人権を侵害するという導入反対意見があり、米国-欧州の2者間だけですんなり決められる事項でもないため米国内でも難しい課題となっています。

最後に

 2021年5月末の3連休メモリアルデーウィークエンド、運輸保安庁(TSA)発表によると全米空港のセキュリティチェックポイント通過者がパンデミック以降では最大の週末となり2019年比で約75%レベルまで回復。市内でも観光客の姿を見かける機会が日に日に増えているのを感じられます。ニューヨーク州ではCDCのガイドラインに従いワクチン接種済みの者に関しては基本的にマスク着用とソーシャルディスタンス不要となり、飲食店は100%キャパシティでの屋内飲食営業が許可されています。主要観光スポットとアトラクションも多くが営業を再開しており、9月14日公演再開予定のブロードウェイミュージカルが戻ってくれば国内旅行に関してはほぼ制限を受けることなくパンデミック以前と同じニューヨークを感じられる環境が整います。

 一方、私ども現地日系旅行会社にとって重要な海外旅行は依然として入国後の隔離措置が最大の障壁です。日本からニューヨーク州への入国後隔離は既に義務ではなく推奨となっていて、ワクチンツーリズムで入国した旅客は空港から接種会場へ直行できていますが、ニューヨーク州から日本への入国後隔離は義務で14日間(内3日間は検疫所指定施設)。コロナ禍の収束はワクチンだけが全てではございませんが、接種が遅れている国々の状況が好転し入国後隔離義務が解除されるその時を挫けず待ちたいと思います。

JFK国際空港ターミナル1、日本航空カウンター近くにあるPCR検査サイト。左手デスクにて受付、奥の白いテントにて検査。厚生労働省が定める陰性証明書式にも対応してくれる。PCR検査費用1回$200~400がニューヨーク市内では相場、検査結果1時間以内で判明するエクスプレス検査は高額になる。

本稿は、トランスオービット ニューヨーク支店の齊藤大将氏より寄稿いただいています。
※2021年6月11日(現地時間)現在の情報です。

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