コロナ下で迎える第二創業期への挑戦と覚悟-「Relux」のLoco Partners 塩川一樹氏

宿泊予約サービスから人と地域をつなぐプラットフォームへ

-Reluxの掲載基準について教えてください。

塩川 基本的な考え方は、宿泊客の期待値とギャップがない宿泊施設であること。宿泊体験が満足度の高い「湯上り感」であることを重視します。多くの宿泊予約サイトや旅行予約サイトを見てきましたが、網羅型やハードスペック重視型のサイトはあっても、接客など目に見えない魅力も含めた満足度を重視する切り口はなかったと思います。

 Reluxの審査項目作りは、宿泊施設のハード面だけでなくソフト面にもこだわっています。タビマエからタビナカ、タビアトまでをシームレスに、ユーザー体験を豊かにできる情報提供を目指しています。そのため旅行前の宿泊施設との接点のあり方や、旅行後の宿側の対応も含めた審査項目を設けています。Reluxを利用し結果的に宿泊者が宿泊施設に好意を持つのが目標で、そのための審査項目です。適宜、項目のバージョンアップも図っており、現在はコロナ禍でのニーズ変化を考慮し更新をかけているところです。

 Reluxの会員数と掲載施設数のバランスや、エリアごとの顧客ニーズやこれまでの実績、「掲載施設がないエリアに対する掲載要望」なども定性的、定量的に勘案し、なおかつ宿泊施設側にも成果が出るように配慮しつつ掲載を決めています。

-宿泊施設が掲載を希望する場合はどうすればいいですか。

塩川 お問い合わせフォームより、「Reluxへ新規参画申し込み」の項目をチェックしていただき、施設名、公式ホームページのリンクも添えてご連絡ください。

-最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

塩川 日本のGDPの7割は第3次産業で、宿泊や運輸を含めた旅行領域は経済を代表する領域です。ここで価値を拡大することは未来に対してポジティブなことであり、観光が解決できる社会課題も多くあるはずです。その意味で観光領域が一丸となって課題解決に関わりたいというのが、おこがましくはありますが個人的な志です。

 その志に基づいて準備しているのは、宿泊施設間の交流や情報交換を促進する交流勉強会の開催です。たとえば学ぶべき点がある宿泊施設の内覧会を実施し、その後食事をしながら交流と情報交換を行う場を設けてみたい。「未来の宿はこうあるべき」を皆で考え、互いにキャッチアップし高め合える場にしたいと構想しています。

 以前から旅館経営者やホテル総支配人を対象に朝食会を主催しており、延べ40回を開催済みで参加者コミュニティも1,000人に達しています。互いにオフラインで学べる場、互いにギブできる場を求める声が多く、そうした声をつなぎ磨き合う機会を作れればと常々考えていました。いわゆるOTAっぽくない取り組みですが、こうした草の根交流の幹事役を務めていきたいと思います。協会や媒体主催の交流の仕組みはありますが、よりカラーのないフラットな集まりを作り、群れるのではなく宿泊業に本気の人たちをつなぐネットワークを築きたいのです。個々の宿のレベルが向上することは、全体にとっての良い成果にもつながっていくと信じています。

-ありがとうございました。