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コロナ下で迎える第二創業期への挑戦と覚悟-「Relux」のLoco Partners 塩川一樹氏

宿泊予約サービスから人と地域をつなぐプラットフォームへ

-過去20年を振り返っても、一定期間の需要が蒸発するような事態は3年から4年に1回程度は起きています。つまり4年分の経費と利益を3年間で稼いでおかねばならないということでしょうか。

塩川 今回のコロナ禍は世界的なショックですが、これに準ずるような地域特化の天変地異や、少し広域な課題が持ち上がることはあるでしょう。それに備えて自助努力の準備を整えることも重要ですが、「助けてもらう、助け合う」関係性も重要だと考えます。宿泊産業は装置産業ですから、企業にとっての血液が尽きかけた時は金融機関に輸血してもらえる関係性を築いておく。あるいは未来に返済できるだけの稼ぐ力があると分かってもらえる信頼の蓄積がとても大切です。

-宿泊施設のあるべきポートフォリオをどうお考えですか。

塩川 旅行領域は人の移動が伴って成り立つビジネスですが、人が移動しなくても顧客との接点を維持したり、ビジネスに結びつける基盤を持つことも重要です。自宅でも楽しむことができるオンラインコンテンツの提供や、食品を含む物販など。施設の情報や商品、魅力を様々な形でコミュニケーションできるようにしていきたいです。働き手も、宿泊施設単体を活躍の場とするのではなく、閑散期には同じ地域の別の領域で仕事できる仕組み、地域内の交流を図ることも1つの方法です。コストを下げたり、逆に上げて売上を高めるといった柔軟性あるコントロール体制は、人材活用の観点でも必要です。

-コロナ禍も1年以上ですが、予約動向にはどのような変化がありますか。

塩川 全体として感じるのは慎重に宿選びをしている印象です。顕著な特徴は4つ。まず直前予約の傾向が表れています。安全対策への関心が高いのも特徴です。また近隣圏の予約が多い。さらに小規模施設に予約が集まる傾向もあります。

 Reluxでは、ユニークなデザイン性やテーマ性を持つ空間が際立つコンセプチュアルなホテルを集めた「コンセプト」カテゴリーがありますが、このような個性的な宿泊施設を楽しむ滞在が人気です。通常なら「今年の夏はどこへ行こう」と考え、先々の日程や旅行エリアを決めますが、現在は違います。「状況を見つつ、安全性が高く、家から距離が近く、密を回避して滞在が楽しめる宿へ行きたい」という胸の内でしょう。

 また海外旅行の代替となるエリア、たとえば沖縄方面のリゾート宿泊施設はトピックスになりやすい傾向があります。

-Reluxのサイトは現時点では日本語対応のみだと思いますが、外国語対応の再開予定はいかがでしょうか。

塩川 外国語対応の休止は訪日需要蒸発が主因ですが、経営資源を国内需要に集中する狙いもあります。訪日需要が低減している間にシステム基盤の刷新を進め、来たるべき需要回復期にミートできる体制を整える戦略です。システム基盤の刷新は、カスタマーニーズの変化に即応してシステム改修をスピーディーに進められ、繰り返しの改修や新機能の追加を容易にするのが目的です。

 仮に来夏に需要が戻るとして半年間はリードタイムが必要ですし、すでに需要はくすぶり始めているとの見方もあります。なるべく早く先々の要望に応えらえるよう刷新を急いでいます。

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