世界遺産知床のネイチャー・リゾートを目指してー北こぶし知床ホテル&リゾート専務 桑島敏彦氏

  • 2021年6月10日

3つの宿泊施設でユニークな自然体験
「クマ活」などCSR活動も積極に展開

-今後の回復についてはどのように見ていらっしゃいますか。

桑島 今の段階では回復の兆しは全く感じていないのが正直なところです。昨年7月に道民割がスタートし、その後にGo Toトラベルが始まり、昨年はその爆発力がありましたので、現在もなんとかもっている状況です。今年はGo Toトラベル再開の兆しがなく、昨年よりも厳しくなるのではないかと思っています。なかなかワクチン接種も進まないなか、夏のオンシーズンに向けて対策を考えているところです。

 今年7月以降の国内旅行については、19年比で7割〜8割戻ればいい方だと見ています。来年は、ワクチン接種が進めば国内市場は活発に動き出すでしょう。インバウンドについては、まだ時間がかかるのではないでしょうか。2022年度は全体で19年比8割〜9割まで回復できればと思っているところです。

-旅行業界とは今後どのような関係を築いていきたいとお考えですか。

桑島 コロナ直前は売上の40%程度がリアルエージェント経由でした。40%のインパクトは経営数字として影響が極めて高く、今後もパートナーシップを強化したいと考えております。ただターゲット客層によって分類を明確にしなければなりませんが、過去10年スパンで考えた際は特に個人型商品でリアルエージェントは影響力が下がっていることは明らかだと思います。消費者の購買はウェブにシフトしていますし、当社としてはウェブ販売を強化すること、自社ブランディングを強化することに注力していきます。アロットメント制度も含めて抜本的な見直しの時期にきていると感じています。

 一方で団体手配についてはリアルエージェントの存在は大きく、今後も期待したいところです。

-最後に、トラベルビジョンの読者に向けたメッセージをお願いいたします。

桑島 今年から2年間ですが全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部の労務委員会で副部長を務めています。現部長の星永重さん(福島県藤龍館)を先頭に観光を日本の基幹産業にすることを目標に活発に活動しています。また、労務委員会の立場から言うと、宿泊産業が魅力的な仕事だと思われていないから、人手不足になると思っています。それを解決していくためにも、業界として宿泊産業のブランド力を上げていきたいと思っています。

 基幹産業に向けて、OTAに対してもリアルエージェントに対しても団体として交渉していく必要があるでしょう。政治的に動かなければ、救える宿も救えなくなる。団体の強みを生かして、一丸となって進めていく必要がある。ぜひ、若い人に青年部の活動に参加してもらい、一緒に宿泊業界の未来を考えてもらいたいと思っています。

-ありがとうございました。