コロナ禍こそ宿泊施設は直販強化を-tripla代表取締役CEOの高橋和久氏
AIチャットボットと予約エンジンで宿泊施設をサポート
施設から直接顧客へアプローチ、需要の取り込みを
ホテル・旅館などの宿泊施設に多言語AIチャットボットと自社サイト用の宿泊予約エンジンを提供する第2種旅行業のtripla。コロナ禍で宿泊施設が集客方法の改善に取り組むなか、予約エンジンの利用施設数が大きく増え続けているという。4月にはトリップアドバイザーと連携するなど、さらなるサービス拡充に取り組む同社代表取締役CEOの高橋和久氏に、現状と今後の展望について話を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
高橋和久氏(以下敬称略) triplaは2015年4月に現代表取締役CTOの鳥生格が設立した会社です。私は創業時から携わっていましたが、正式な着任は同年9月で、それまではAmazonのファッション事業部で事業部長を務めており、旅行業界は素人でした。
triplaではまず、飲食店に来るインバウンド向けの多言語のメニュー翻訳アプリを作ろうと考え、16年の前半まで取り組みました。ところがうまくいかず、創業資金も底をついたため資金調達をしました。
そのとき、宿泊業界の方からお話をうかがったことをきっかけに「ホテルの課題解決もインバウンドにつながるのでは」と思い、都内のホテルグループにヒアリングをさせていただきました。その際、コンシェルジュの方から「海外のお客様からの宿泊前のメールや電話での問い合わせ対応が忙しく、ホテル内での案内よりバックオフィスでの作業が多くなっている」という悩みをうかがいました。
「宿泊客からの事前の質問に対応する」という課題を、AIを使ったチャットボットの提供で解決できないかと考え、半年間かけて「triplaチャットボット」を開発。17年1月にβ版を数社に無料提供し、5月に正式リリースしました。チャットボットは日本語、英語・韓国語・中国簡体字・中国繁体字に対応しています。
リリース当時、AIの回答比率はわずか8%で、AIが回答できない問い合わせは弊社のオペレーターが回答していました。そこから機械学習の仕組みを作り、18年には30%、18年末には70%から80%、19年以降は95%程度回答できるようになりました。
AIチャットボットを提供していくうちに、ホテルの予約にも課題があることが分かりました。そこで、19年に自社サイト用宿泊予約エンジン「triplaホテルブッキング」をリリースしました。