「日本の旅行者をお迎えする日を期待して」台湾の魅力を発信し続ける-台湾観光協会東京事務所所長 鄭憶萍氏

防疫最優先に尽力する台湾は安心安全の旅先
台湾を思い出してもらうPR戦略も積極展開

-台湾の旅行業界への支援については、どのような施策が展開されましたか。
鄭氏

 台湾の政府は、昨年から休業補償や営業補償などで救済策を実施しています。対象となる旅行会社は約4000社で従業員数は約4万4000人、登録ガイドやツアーコンダクターなどが約4万人、観光レジャー施設25ヶ所で約6000人になります。現在のところ、廃業はありますが、倒産は出ていません。ガイドについては、一旦休業して、別の仕事をしている人も多いようです。インバウンドが戻ってくると、復職してくると思います。

 台湾観光局でも昨年、人材育成プログラムを提供しました。商品開発研修などを受けると補助を出す仕組みで、座学ではなく、現地視察や実地研修を多く実施しました。

-4月には台湾とパラオの間でトラベルバブルが開始されました。

 今年4月1日に台湾発の第一便が出発。ほぼ満席で約100人がパラオに向かいました。管理型の団体旅行で、個人の手配はできません。参加者には、6ヶ月以内の出入国歴がないこと、直近2ヶ月の在宅隔離、検疫、自主健康管理歴がないこと、3ヶ月以内の感染歴がないことが求められ、出発前にはPCR検査を受けて、陰性証明を取得する必要があります。

 また、帰国後は、5日間の完全自主健康管理が求められ、自宅内でも一人でいることが義務付けられ、5日目に自費でPCR検査を受けて、陰性が確認されれば、9日間の自主健康管理に切り替わります。台湾帰国後合計14日目までは規定に従うことが求められており、とても慎重におこなわれました。

-台湾と日本とのトラベルバブルの可能性はどのように見ていらっしゃいますか。

 日本はまだ厳しい状況が続いています。しかし、今後、日本の状況次第で、パラオとのトラベルバブルの経験を生かしながら、同様の措置を他国に広げていくことはありえると思います。台湾の中央感染症指揮センター(CDC)は4月初旬に、日本や韓国なども検討のテーブルにあると発表しました。まだ先になると思いますが、欧米などに比べると再開は早いと思います。まずは、日本の感染状況が落ち着くことが大事ですね。

-そうすると日台間の自由な往来はまだ先になりそうでしょうか。

 CDCによると、台湾国民の60%のワクチン接種が完了すれば、国境開放に向けて動けるだろうとの見解を示しています。早ければ、年内に台日双方で一定の観光関係代表者等が集う機会を設け協議をおこない、一般の旅行者の再開は来年の春節には可能ではないかと期待しています。しかし、これは、台湾の事情だけでなく、日本の感染抑制状況やワクチン接種率、他国からの受け入れ体制ほかさまざまな状況が関わってくる問題ですので、台湾当局も慎重に情勢を見ているところです。

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