アメリカの「今」を駐在員の視点から-日本とアメリカのコロナ支援を比較、西部都市の回復状況

サンフランシスコ

 カリフォルニア州の中で、昨年いち早く新型コロナウイルスによる外出禁止令が発令されたベイエリアです。ジョンズホプキンス大学とCA州保健局によると、4月15日時点、サンフランシスコ郡の新型コロナウイルス感染者数は延べ3万5869人。現在はワクチン投与がおこなわれ、サンフランシスコ郡も接種対象を16歳以上に拡大し同郡のワクチン投与回数は、72万1963回となっています。

 カリフォルニア州の経済活動再開の指針では、ベイエリアのすべての郡は現在2段目に緩いティア3となっており、4月中には昨年達しなかったティア4に移行する予想もされています。

フィッシャーマンズワーフ・ピア39には賑わいも

 レストランはようやく店内飲食が再開、現在は感染予防策を講じた上で定員の50%または200名までの制限で営業しています。昨年主流になっていた屋外スペースでの飲食も継続されています。ショッピングモールのフードコート、博物館も定員の50%上限にて営業が再開されています。観光客に人気のアルカトラズ島は、1年間閉ざされていましたがCellhouseの屋内見学がようやく再開しました。

 市の中心地ユニオンスクエア周辺は閉店した店舗の空きスペースも多く、サンフランシスコ名物のケーブルカーも無期限運休中で、人の流れも少なく活気が戻るには時間がかかりそうです。一方、人気観光地であるフィッシャーマンズワーフはアメリカ国内からの観光客とみられる人達で賑わいをみせています。

 全米の1日の旅行者数が3月中旬以降、連日100万人を超えるという、運輸安全局(TSA)の報告にもある通り、サンフランシスコ空港は国内線の増便もあり、ターミナルは早朝から午前を中心に混雑する日が増えてきました。一方、国際線ターミナルは未だ閑散としています。

国内線のセキュリティチェックゲート

ロサンゼルス

 50州のうち最多感染者数のカリフォルニア州の3分の1ほどの感染者数のロサンゼルス郡ですが、4月15日現在、ワクチン接種対象が16歳以上までとなり、今年の1月は1日の新規感染者数1万人超でしたが、現在は1日約500人となっております。ロサンゼルス郡公衆衛生局によると、4月15日時点で累計の感染者数122万7514人、死亡者数2万3569人、ワクチン投与回数491万3321回と発表しています。

 現在、州制定の経済活動再開指針のティア3まで進み、州内の住民で事前予約制という制限はありますが、4月16日からはユニバーサル・スタジオ・ハリウッド、4月30日からはカリフォルニア・ディズニー・リゾートなどテーマパークや商業施設が再開を予定しています。

 現在、映画館は劇場収容人数の50%または200名までで営業が許可されていますが、公開と同時にオンデマンド配信をおこなう事が多くなっているアメリカではコロナ禍となった今、映画館への動員はとても難しいとに感じています。現地メディアによると、ハリウッド映画の今後の作品についてもコロナ禍の影響によりスケジュールが遅れ、再延期となっている作品も多々あるようです。映画の都ハリウッドがあるロサンゼルスにとっては経済活動再開指針の制限撤廃となる6月15日が待ち遠しいのではないかと推察します。もちろん旅行業も例外なく、制限撤廃が待たれます。

映画館内。収容人数50%まで許可されていますが、観客はまばらでした

 このままアメリカ国内のワクチン投与が順調に進んでいけば、 “ワクチンパスポート”での国内旅行も夏に向けて、より盛んになってくるのではないかと想像しています。その後は日米間の渡航往来制限の緩和のため、日本のワクチン投与が早期に行き届く事を期待したいところです。

本稿は、トランスオービットUSAロサンゼルス本社の森下進一氏より寄稿いただいています。
※2021年4月15日(現地時間)現在の情報です。

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