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海外旅行復活に備え、旅行会社が今やるべきこととは?-JATA経営フォーラム

業界全体でコロナ対策プラットフォームの構築へ
デジタル化と顧客を逃さぬ人間力を両立

スタッフと顧客の接点が重要、デジタルとヒューマンタッチの共存を

阪急交通社代表取締役社長の酒井淳氏  パネルディスカッションでは、コロナ禍で急速なデジタル化が進むなか、平常期になったときに旅行市場がコロナ前と大幅に変化しているとの予測のもと、旅行会社が備えるべきことについても議論がされた。

 酒井氏は「しかるべきタイミングに向けてお客様との接点をどう維持していくかが1つのポイント」と説明。「お客様の『リアルな旅行に行きたい』という意欲につながればと思ってオンラインツアーを実施している。動画を使った取り組みにより、より回復期から平常期に向ける動きが進められれば」と語った。

 また、「デジタルはツールの1つであり、最後は人間で対応していきたい。人間対人間の接点が大切であり、そこにしか旅行会社の存在価値はないのでは」と話し、社員のスキルアップに努める考えを示した。

 高山氏は「アフターコロナでも人間の根本となる旅の欲求は普遍的な心理」としたうえで、「お客様に喜んでもらうために旅行会社が存在するという原点に立ち返り、自社の強みを磨き上げるべき」と主張。旅行者のバックグラウンドや同行者などで旅行先での過ごし方が異なることから、「お客様の旅行に対する欲求を深く洞察する能力を養い、人間力を向上させる」ために社員の教育を強化していることを説明した。さらに、旅行業のデジタル化についてもアプリの開発などに取り組むことで、「ヒューマンとデジタルのハイブリッドを進めていきたい」と話した。

ワールド航空サービス代表取締役社長の松本佳晴氏  松本氏は販売戦略上の転換としてのデジタル化をあげ、「これまでのデジタルは市場に対して一方通行的だったが、その一歩先の双方向的なデジタル化ができないかを考えている」とコメント。さらに、旅行業は知的創造産業としての側面があるとし、「社員1人1人が『知的創造産業としての旅行業の一員』というプライドを持って、面白がって仕事に立ち向かっていけるような企業にしていきたい」と語った。

 また、松本氏は「ポストコロナ期はFITが主役の1人になる」との考えを示した。ただし、FITはハワイやパリ、ニューヨークなど観光インフラが十分に整った主要観光地に限られるといい、「きわめてローカルエリア専門性のある旅行会社により、購買訴求力の強い、企画性がある少人数のツアーが出てくるのでは」と予想。「FITは主要観光地・観光国、ローカルエリアは小規模なパッケージツアー、といった2本立てになるのでは」との見方を示した。