「ニューノーマル」の次は「ネバーノーマル」、世界の激変にどう対応するか
「ノーマル」のない世界、挑戦は「VACINE」で
同じく変化のスピードに適した行動の大切さを訴えたのはコンサルティング企業NEXXWORKSの共同創業者であるピーター・ヒンセン氏。同氏は、これまで通用してきた「ニューノーマル」の表現を否定し、常に変化が起き続けて「ノーマル」は二度と訪れないとの考えのもと「ネバーノーマル」への対応を提唱した。
ヒンセン氏は「すべての変化が早く、常に変わり続けている。働き方も、儲け方もすべてだ」と語った上で、スティーヴン・ホーキング博士の「知性とは変化に適応できる能力だ」との言葉を引用した。
例えば特にコロナによる変化では、ビデオ会議のZoomは2019年12月に1日あたりの利用者が1000人であったところから、2020年4月には3億人に増加したことを例示。その時価総額は、サウスウェスト、デルタ、ユナイテッド、IAG、ルフトハンザ、アメリカン、エールフランス/KLMの各航空会社の総額を上回るまでに跳ね上がっているという。
そして今後より重要になるのは反発力、回復力であるとも言及し、必要な要素をワクチンにかけて「VACINE」の6文字で紹介。Vは「ベロシティ(速度)」で、「もし身の回りのすべてをコントロールできている気になっているとしたら動きが遅いだけ」と釘を刺した。2文字目のAは「アジリティ」で変化の流れに乗って加速する機敏さだ。
続くCは「クリエイティビティ」で、Iは「イノベーション」。イノベーションでは、コロナでテーマパークも映画館も閉めざるを得なかったディズニーがストリーム配信事業を開始して8週間で5000万人を集めたことが例示された。
そしてNは「ネットワーク」、Eは「エクスペリメンテーション(実験)」。特に重要なのは「E」であるといい、失敗を恐れずに試し挑戦し続ける大切さを強調。「私は負けるということは決してない。勝つか、学ぶかどちらかだ」とのネルソン・マンデラ元大統領の言葉も引きつつ、「教訓を得てからでは遅い。得ながら進むのだ」と訴えるとともに、企業としてこれを実現するには組織としての意識付けが欠かせず、そのためには経営者が失敗のコストを下げて挑戦を推奨するコミットメントが不可欠であると語った。
取材:松本裕一