「ニューノーマル」の次は「ネバーノーマル」、世界の激変にどう対応するか
テクノロジーの進化への対応策は「学び」、問題「発見」も重要に
フリードマン氏が3つ目の観点として挙げたのは人の働き方。スマートフォンやクラウドコンピューティングにより、「かつてないほど多くの人がかつてないほどのコンピューティングパワーを安価に手に入れられるようになった」中で、人々が持つスキルや知識の価値の低下が非常に速いペースで進むと警鐘を鳴らす。
例えば蒸気機関は1700年代から100年もの間社会を支える基盤として存在し、当時の男性の平均寿命が37年であったことから計算すると3世代がその基盤の上で生き、続く1800年代の100年間は内燃機関(エンジン)が主要テクノロジーとなり、当時の平均寿命は40年だったので2.5世代が同じテクノロジーのもとで生活した計算となる。これに対して現代では1人の生涯のうちに何十ものテクノロジーやツールが登場する世界となっていて、すぐにスキルや知識が無価値となっていくとの指摘だ。
こうした中で人々は「生涯をかけて学習者でいる」必要があり、このためフリードマン氏は教育のあり方も変わると予測。これまでは政府が育てて企業が雇用するのが流れとなっていたが、今後は働きながら学ばなければテクノロジーの世代交代についていけないため、教育も企業の役割となっていくと分析する。
そして、そうした世界の労働市場で高く評価されるのはもはや学位や専攻ではなく、また「問題解決力」でもなく「問題発見力」であると推測。問題解決のプロセスは知識がなくてもプログラムを組み立てられるようになるなどテクノロジーの進化で代替または容易化されていくが、「スティーブ・ジョブズはあなたがiPhoneを必要としていることに気付いた」ように世界に足りていない物事に気付く能力はますます求められていくとの考えだ。