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「そとあそび」買収でさらなる飛躍へ-アソビュー代表取締役CEOの山野智久氏

コロナ禍で人気集まるアウトドアを強化
チケット販売分野でDX推進も

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19、コロナ)でキャンプや釣りなどのアウトドアアクティビティに注目が集まっている。そんななか、アクティビティや体験などの遊びの予約サイト「アソビュー!」を運営するアソビューは、1月1日付でアウトドアアクティビティ専門予約サイト「SOTOASOBI」を運営するそとあそびを買収した。さらなるビジネスの拡大をはかるとともに、アクティビティや体験施設のDX推進に取り組むという、アソビュー代表取締役CEOの山野智久氏に今後の展望をうかがった。インタビューは1月25日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

山野氏
-事業へのコロナの影響についてお聞かせください

山野智久氏(以下敬称略) 弊社は観光業とスタートアップの両方の側面を持っている。スタートアップとしては売上・利益を元手にした投資資金と継続的な資金調達で会社を回しているが、昨年4月の緊急事態宣言で両方とも先が見えなくなった。

 売上については、緊急事態宣言中は19年比で95%減となり、甚大なる被害を受けた。また、資金調達は年明けから進めていたが、コロナで金融市場が一時的に混乱したこともあり、3月後半から調達先からの返事が滞り、4月には白紙撤回になった。一方でセーフティーネットを活用して銀行からの借り入れは実施できた。

 会社の存続のためには1円でも多く売上を増やして利益を拡大し、コストを削減しなければならない。そのためには経済的な合理性以外にコンセプトが必要だと思い、コロナには終わりがあるとみた上で、「事業を継続させる」「雇用を維持する」の2つのコンセプトで対策を講じた。

 コスト削減では、他業種とのワークシェアリングで人件費・販管費の削減をはかった。当時110名いたスタッフのうち24名に、昨年の5月から1年間限定で他社に出向してもらい、他社に人件費を負担してもらいつつも雇用を維持した。また、契約直前だった賃貸オフィスを借りるのを中止するなど、できるだけコスト削減に努めている。

-昨年開催されたGoToトラベルキャンペーンの効果についてどうお考えですか

山野 GoToトラベルキャンペーンは間接的には効果があったように思うが、むしろ、11月からスタートしたGoToイベントキャンペーンに恩恵を受けた。チケット会社経由で期間中のイベントやエンターテイメントのチケットを購入した消費者に対し、割引クーポンなどを付与するもので、キャンペーンによりイベントありきのマイクロツーリズムが増えた。

 前提として、GoToトラベルキャンペーンは世界的に見ても成功事例となり得るすばらしいアイデアだと思っている。しかし、当然のことながら完璧な建て付けなど無いので、抜け漏れはあったと思う。弊社の事業領域においては、日帰り旅行の場合は往復の公共交通機関の乗車券などが必須で、マイカーで移動して現地でアクティビティを体験する日帰り旅行は実質的には対象外だった。このため、主に周辺地域の人々が訪れる体験施設には恩恵が限定的だった。

 また、地域共通クーポンの利用先も改善の余地があると思う。買い物などを楽しむ「都市型旅行」を否定するわけでは全くないが、観光産業が守りたかった土産店や地域の飲食店よりも、クーポンを使いやすいコンビニや家電量販店にお客様が流れてしまっている状況がある。

 これら全ては難しいが、キャンペーンを再開する際に改善できるのであれば検討すべき点だと思う。