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公認会計士が教える、恥をかかない知っておくべき会計知識

  • 2021年2月3日

とっつきにくい会計をわかりやすく
数値を比較することで会社が見えてくる

決算書・試算表を見るときのポイントは、数字を比較すること

 決算書も試算表の数字を見るときのポイント、それは「数字を比較すること」です。決算書単体や、試算表それだけをみても僕もよくわかりません。数字はあくまでも比較や割合を算出することで、意味がでてきます。

 具体的に比較するべき数字は主に以下のような項目になります。

・自社の前年同月と比較する(例:2020年1月と2019年1月)

・自社の前期末日(例:2020年1月と2019年3月)

・自社の前月と比較する(例:2020年1月と2019年12月)

・他社と比較する(例:A社とB社)

 他社の数値を比較できるのは理想的なんですが、正直、業種やサービスの内容が完全に一致することはあまりありません。そのため、自社と比較をしてもあまり見えてくるところは少ないような印象です。

 企業買収などの際は、その会社が儲かっているのか、優良資産を保有しているのかどうかという点に着目して数字を見ることがおすすめです。儲かっているのか、という視点で数字を見る際は「営業利益が増加傾向にあるかどうか」を決算書を3年分比較検討してみることで見えてくるでしょう。

決算書を読みとく上で恥をかかない3つのポイント

 決算書は数字の羅列です。どこを見れば良いのかまったくわからないような雰囲気があるかと思います。経営者の方は、年に1回しか作成していない書類なので、読み方を思い出すこともなく、また1年後になっているかもしれません。もしくは、融資の際になどに提出を求められ、質問をされても内容がわからないから会計事務所に確認する、なんていうこともあるのではないでしょうか。

 細かい数字は、正直見る必要がないかと思います。見るべき大切なポイントは次の3つです。この3つをみて、良い決算書なのか、悪い決算書なのかが判断できるようにしておきましょう。

見るべき項目記載されている場所どういう見方が良いのか 他
営業利益と経常利益損益計算書
or
試算表
営業利益がプラスかどうか
経常利益がプラスかどうか
自己資本比率貸借対照表
or
試算表
(計算の必要あり)
<計算方法>
純資産金額÷総資産金額×100%

<目安となる基準>
30%を超えているかどうか。ざっくりではありますが、30%を超えていると優良。20%未満だと少し不安。0%未満の場合は債務超過のため、非常に不安。
実キャッシュ残高貸借対照表
or
試算表
(計算の必要あり)
<計算方法>
現金・預金残高−(短期借入金+長期借入金)

<目安となる基準>
実キャッシュ残高がプラスの場合、非常に安定経営。マイナスの場合は借入依存度が高い傾向に。

(備考)あくまでも会社の安全性を見る一つの尺度であって、実キャッシュがマイナスだからすぐに困る、というわけではない。


 会計士である僕が、会社の状態を判断する上で目にしているのは主に上記3つになります。もちろん、業種や事業規模によって見るべき数値が変化します。しかし、どのような会社であってもこの3つは必ずみています。財務分析などというと、安全性分析や収益性分析、ROE、ROA、EBITDAなどいろいろな指標があります。あまり難しい表現はやめて、決算書や試算表をみると、すぐにわかる上記3つをまずは抑えることがポイントなのではないでしょうか。

 まずは自社の決算書や試算表から算定をしてみてください。そして比較をすること。この順番が大切です。

渡邊勇教
公認会計士。邊勇教公認会計士・税理士事務所、ゼロベース代表
北海道帯広市出身。立命館大学卒業後、監査法人トーマツに入所。2011年に公認会計士登録。その後、渡邊勇教公認会計士・税理士事務所(かぜよみ会計事務所)設立。2018年に業務改善や財務コンサルティング、他士業との連携サービスを提供するゼロベースを設立。また、渡邊勇教公認会計士・税理士事務所の代表しても法人・個人の各種確定申告などもおこなっている。