企業になかなか伝わらない補助金事業をわかりやすくサポート― 株式会社補助金ポータル代表取締役 福井彰次氏
2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、観光関連産業の多くが甚大な影響を受けているのは明らかだ。これから冬場にかけて、ますます苦しくなることが予想されるなか、少しでも会社経営の手助けとなるよう、使えるものは全て使っていこうという趣旨で、補助金事業のことを知っていただく記事をお届けする。公の補助金、助成金、給付金についてわかりやすく情報提供を行ない、申請のサポートなども行なっている株式会社補助金ポータルの福井彰次代表に話を伺った。インタビューは11月17日にオンラインで実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
福井彰次氏(以下敬称略) 基本的には国と企業をつなぐプラットフォーム。国策として様々な補助金、助成金、給付金があるが、民間企業にはなかなか情報として伝わっていない。そこには課題が2つある。1つは、補助金についての情報が煩雑すぎるということ。もう1つは、国は不正を防ぐために申請書類をしっかり書くことを求めており、書類に不備があると突き返されてしまう。私たちはこれを「作業の壁」と呼び、申請作業のサポートも行なっている。
昨年の民間企業の公的支援利用率は50%を下回っている。本来は補助金などの公的支援を活用していただきたいのに、情報の壁、作業の壁のせいで、特に中小企業では、なかなかうまく活用されていない実態がある。
壁を取り除くために、私たちが提供しているサービスはこのようなことだ。
1. 補助金一つ一つについてわかりやすく記事を提供
2. お客様自ら検索し、一目でわかるようにしている
3. 作業の壁もサポート
福井 国と企業をつなぐプラットフォームとして、最優先に考えているのは社会貢献。国策を推進していくと民間企業が生産性向上を図ることができる。その先につながるのはSDGs、持続可能な状況であるということが重要。
中小企業だけでなく、エンドユーザー層で補助金や助成金を自社で使いたい人もいる。国策と連動して事業を行なう、デジタルトランスフォーメーション提供企業、生産性向上につながるITツール販売の企業なども支援できる。GoToなどもそうだが、国の施策が浸透しきっていない分野には数々の壁があり、そういったところの課題解決を支援していくことも視野に入れている。
福井 補助金は全部で5000種類もある。出処で大きく3つに分けられる。
1. 省庁(国)
2. 自治体
3. 民間企業
それぞれ全てに目的があり、千差万別だ。国では来年度、脱炭素とデジタルトランスフォーメーションの2つの軸が中心になると見られている。自治体の課題感もそれぞれ異なっており、全てが国と連動しているわけではない。民間企業もそうで、目的自体の種類がとても多い。
補助金と助成金の違いについて、代表的な例で言うと、補助金は、どちらかというと設備投資に対する補助であることが多く、経産省、国交相、環境庁が主体。物を買うと生産性が向上し、時間外労働を減らすことにつながる場合などに補助するもの。助成金は、どちらかというと「人」関係。管轄は厚労省。働き方改革やキャリアアップ、高齢者を雇うといったことに対して助成を行なうことが多い。
福井 補助金の分野だけで700件〜800件受注した。小さいものから大きなものまで、幅がある。小さいものは、パーセンテージで設定すると、20万円の申請に対して20%いただくのでは、こちらも厳しいので、10万円以上でお願いすることが多い。大きいもので言うと、昨年、山形県のホテルで、空調設備の入替え、窓ガラスに遮熱フィルムを貼る、LEDに取り替えるなどの5000万円規模の補助金事業を500万円で請け負った。
福井 一般価格表では受給金額の15%〜20%を設定しているが、補助金によっても申請の難易度が異なっていたりするため、受け取る金額に合わせて手数料を調整している。もらいすぎにならないよう気をつけている。