第3種のNinNinが転職サービス開始、旅行業のDX促進も-代表取締役の横田啓介氏
旅行会社のDX促進と業務の効率化に注力
業界外転職をチャットでサポート
新型コロナウイルス感染症(COVID-19、コロナ)により旅行会社は大きな被害を受けているが、なかでも被害が甚大なのが海外旅行を主に扱っていた会社だ。それぞれ国内旅行の販売にシフトする、オンライン販売に注力する、MICEに力を入れる、など対策をしているが、2018年から海外旅行をLINEのチャット経由で販売していた第3種旅行業のNinNinは、旅行業界を中心とした転職サービスという新しい事業に乗り出した。加えて、これまでの経験を活かして旅行会社のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献したいと語る、同社代表取締役の横田啓介氏に話を聞いた。インタビューは11月16日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
横田啓介氏(以下敬称略) 大学を卒業してDeNAに入社後、ゲームの企画や新規ゲームのプロデュース、新卒の育成などを担当していた。2015年8月に同社を退社した後、同僚だったエンジニアの藤原聡王とともにNinNinを設立し、16年からLINEを使ってチャットでやり取りしながら旅行相談に応える「TabiTabi」サービスを開始した。17年に第3種旅行業を取得し、18年から海外旅行を販売している。
創業当時はLINEが普及し、LINEのチャットボットを自由に開発できるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)の開放が進んでおり、チャットを使ったビジネスに挑戦しやすかった。また、AI技術が進化するなか、AIを活用すれば他社よりもサービスの価値を高められると考えた。
チャットで何か事業を展開しようと考えたとき、エージェントが介在しやすい旅行、人材、不動産業界でなら可能だと思った。このうち旅行業界については、当時はエクスペディアなどの大手OTAがチャットを使った相談サービスを実施していたが、旅行会社がチャットを活用して旅行商品を販売しているケースはほとんど見当たらなかった。こうした市場の環境から、旅行業に参入できると考えた。
横田 創業以来順調に事業を拡大してきたが、コロナの影響は大きかった。海外旅行を販売していたこともあり、売上はゼロになってしまった。現在は新規のお問い合わせの対応を停止し、旅行業のDXの推進や業務の効率化にフォーカスしている。
資金繰りについては、日本政策金融公庫と信用保証協会の制度を使い、借換を含め約1.5億円の資金を調達した。また、60名ほどいた従業員を整理し、オフィスも無くした。現在は完全にリモートワークに切り替えている。加えて役員報酬の減額などを実施し、総コストを従来想定の十分の一まで削減した。