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ポストコロナの航空券流通、アメリカン航空が推進するNDCの未来性[PR]

  • 2020年10月28日

NDCは航空券流通の「ニューノーマル」に欠かせないツールに
コロナ禍だからこその理由とは?

AAのB787型機

 観光産業は新型コロナウィルスによって甚大なダメージを受けているが、そうしたなかでも変わらずNDCの推進を継続する航空会社がある。2019年にも旅客輸送量で世界最大の航空会社となったアメリカン航空(AA)だ。

 NDCとは、本稿をご覧になるであろう方々にとっては釈迦に説法だが、国際航空運送協会(IATA)が主導する航空券流通の規格のこと。従来のGDSが主に「EDIFACT」と呼ばれる規格で航空券データをやり取りしていたため様々な制約があったのに対し、NDCはより多くの機能やサービスの情報、動画や画像などの「リッチコンテンツ」も取り扱いやすくなるといった特徴を持つ。また、この規格を活用する航空会社の多くがNDC経由での接続を最優先し、GDSなどでは利用できない運賃や情報をNDC接続のみに提供しており、その意味で利用する旅行会社は他社より優位に立つことが可能だ。

 とはいえ、冒頭でも触れたように目下の旅行業界は新型コロナウィルスが巻き起こす嵐の真っ只中。NDCへの対応には当然コストがかかるわけで、当然その費用投下の是非については厳しい検討の対象となってくる。このような状況でAAはどこに勝算を見るのか―それが自然な疑問だろう。

アドベンチャーがAAとNDC接続、提供サービスで他社と差別化

アドベンチャーでコンシューマ事業本部本部長を務める田郷勇太氏

 しかし、つい最近AAとのNDC接続をカットオーバーした日本のOTAがあるという。そのOTAは「スカイチケット」を運営するアドベンチャーで、8月18日にNDCを通したAA航空券の販売を開始した。これによりAAの航空券運賃や空席状況をユーザーへ提示するスピードを向上でき、さらに今後は有料での座席指定などアンシラリーサービスの手配やリッチコンテンツの対応などにも積極的に取り組んでいく。

 アドベンチャーにとってNDCの接続はAAが初めてだったが、もともとLCCを含めて複数の航空会社とAPI接続の実績あり。アドベンチャーのコンシューマ事業本部 本部長 田郷勇太氏は、「アグリゲーターなどの第三者を介さずに航空会社と接続し、運賃や空席情報、アンシラリーなどのコンテンツを直接取り入れることで、価格や利便性の面で顧客に価値を提供していく戦略」といい、NDCはその重要なピースなのだという。

 コロナ禍による「冬眠モード」で開発や投資の手を止める旅行会社もあるが、AAディストリビューション・ストラテジー・マネージャーの渡辺雄次氏によると、「アドベンチャーは社内に自前の優れたAPI開発チームを持っており、NDCの推進やシステム向上の作業止めなければならないという事情は感じなかった」こともあってコロナ禍でも滞りなく進行したという。