インタビュー:オーストラリア政府観光局日本局長 デレック・ベインズ氏
過去最大の試練も、徐々に状況改善の兆し
「ATE2021」は絶対開催、業界との関係強化めざす
国内の移動制限については、この半年ほどは感染が多発する地域「ホットスポット」が発生したことを受けて州境が閉鎖されてきたが、徐々に措置が緩和されている面もある。ビクトリア州も州境を閉ざしていたが11月1日からは開く予定で、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州間の往来も近く再開する見通しだ。
もっとも今後の感染状況の推移次第で変わる可能性が残り、また最終的な決定は各州政府の責任と判断による。
ベインズ 確かに出国については、ビジネスや貿易に関係する旅行者は別として、一般的な旅行は特別な理由がない限り許可が下りない。この背景には、出国者が多ければそれだけ帰国者も増えるという考えがある。オーストラリアの場合、帰国時の14日間の隔離にホテルなどが利用されることも多く、状況次第で施設不足も懸念される。そのため出国段階から人数を抑える必要があった。
国際線については、良いニュースもある。ニュージーランドとのトラベルバブルの実現を受けて、QFは10月16日からタスマンルート(オーストラリア/ニュージーランド間の路線)を再開すると発表した。シドニー/オークランド線は週6便、シドニー/クライストチャーチ線は週4便を運航する予定だ。今後も段階的に再開されていくことになると期待している。
ベインズ 感染者数が少なかったニュージーランドとの話し合いは以前から進んでいたが、他の国とはニュージーランドほどには進んでいない。
しかしオーストラリア政府としても同じようなバブルはできるだけ多く作っていきたいと考えている。詳細は未発表だが、感染者数が少ない国との間で実現できると考えている。日本とのバブルに関しても、できるだけ前に進めたいと首相も発言している。
今後の動きとしては、安全を第一に、最初はビジネス目的の旅行から、次に長期滞在者や留学生の渡航、最後に観光旅行と段階的に進めていくことになるだろう。いずれにしても感染状況次第だが、日本との進展はクリスマス後になると見ている。