インタビュー:オーストラリア政府観光局日本局長 デレック・ベインズ氏
過去最大の試練も、徐々に状況改善の兆し
「ATE2021」は絶対開催、業界との関係強化めざす
オーストラリア政府観光局(TA)日本局長のデレック・ベインズ氏が、新型コロナウィルスによる渡航規制や14日間の隔離を乗り越え、このほど日本オフィスに着任した。出入国どころか州をまたぐ旅行も制限されるなど厳しい対応を取る豪州との間で旅行は再開できるのか。また、この状況で観光局や旅行会社はなにをすべきか。前職を含めて日本との関わりが深く、流暢な日本語を操る同氏に聞いた。
デレック・ベインズ氏(以下敬称略) TAには今年4月に入局したが、それまでは20年以上に渡ってカンタス航空(QF)の各部門で仕事をしてきた。
1990年から94年にかけてはQF日本支社でマーケティングやアドミニストレーション、人事などさまざまな仕事を担当した。いったんシドニー本社に戻り海外営業などを担当した後、97年に再び来日し半年ほどマーケティングとマネジメントに携わった。その後は本社で国際線ルート開発や販売開発部長などを担当し、6年前にロイヤルティ部門に異動した。
ベインズ 最初のきっかけは高校時代に外国語授業で日本語を選択したこと。単純に日本語が面白そうだと考えて選んだが、学ぶうちに日本の歴史や経済にも興味が湧き、大学でも日本を含むアジア研究を専攻した。つくば万博のオーストラリア館で働いたり、ワーキングホリデーで日本に滞在したり、日本との付き合いはずいぶん長くなった。
ベインズ この6ヶ月間、オーストラリアの旅行・観光業界は立ち止まったままで、過去最大の試練に直面している。コロナ禍の収束が見えない中で、旅行の規制緩和のタイミングも定かではない。旅行・観光産業の事業者も来年3月までは公的支援を受けられることが決まっているが、来年1月からは支援金額が下がるため大変な状況だ。
しかし旅行・観光産業はオーストラリアの重要産業であり、収束すれば景気回復に大きく貢献することは間違いない。
スコット・モリソン首相はクリスマスまでに国内旅行規制の全面的な緩和をめざす方針を示していて、オーストラリア国内でも期待されている。また、外国人の入国は原則禁止が続きそうだが、ニュージーランドとの間ではトラベルバブルが合意にいたり、ニューサウスウェールズ州とノーザンテリトリーへの入国であれば10月16日以降はPCR検査と隔離措置が免除されることになり、南オーストラリア州もこれに続く見込みだ。