【コロナに負けず】LGBTQ市場の可能性-アウト・ジャパン取締役会長の小泉氏

コロナ禍の今こそLGBTQへの取り組みを
旅行需要の回復速度に期待

日本の観光産業はLGBTQ市場に対しどのように取り組んでいくべきでしょうか
欧米、ブラジル、台湾などから集まった小グループによる日本旅行の様子。写真は18年8月に会津若松で撮影

小泉 LGBTQだからといって特別視せず、すでに日本人として持ち合わせているマナーの良さやホスピタリティを前面に出し、今まで通りの対応することは大切だ。しかし、LGBTQへの理解が足りず、優良顧客を失望させてしまうこともある。誤解や誤認を無くすために、LGBTQの基礎知識を勉強してほしい。旅行会社の経営陣やセールス&マーケティングスタッフがLGBTQ市場を市場としてきちんととらえ、LGBTQマーケティングを学ぶとともに、航空会社や宿泊施設、土産物屋、地方自治体やDMOなどと連携し、点ではなく面としてLGBTQフレンドリーを考えていく必要がある。

 我々はアウト・ジャパンでLGBTQ研修や覆面調査、受入環境の整備、マーケティング、IGLTAの加盟サポートなどを「LGBTQフレンドリーパッケージ」として提供している。ホテルに対しては、他社と展開しているBtoCオンライン宿泊予約システムに優先的に掲載し、集客につなげている。興味がある方はぜひ声をかけていただきたい。

 観光産業はCOVID-19で大打撃を受けているが、業界の皆様は今はポストコロナの準備期間と考えて施策を考えていることと思う。そうであるなら、そのなかの1つとしてLGBTQ市場への取り組みを考えていただければ嬉しい。大変な時期だが、今だからこそ立ち止まって考えられる時期として、ポジティブにコロナ禍を生きてほしい。

最後に、LGBTQの方々と交流できるようなおすすめの店があれば教えてください

小泉 新宿二丁目はアジア最大のゲイタウンといってもおかしくなく、300軒以上のゲイバーがあり、飲食店も多くある。全体的にお洒落なバーが多いが、私は二丁目にある「居酒屋金太郎」をおすすめしたい。いなせな店長が創り出す豪華なお通しから始まり、〆の味噌汁まで、大満足いただけると思う。ストレートのお客様も多く、誰もが楽しめる。本当は教えたくない名店なので、ぜひ行ってほしい。

 また、ふらっと訪れて入れるショットバー「EAGLE TOKYO」もおすすめだ。収容人数100名ほどの1人で気軽に入れるバーで、キャッシュオンデリバリーで外国のようにお酒が楽しめる。LGBTQの方々と気軽に会話ができるので、おすすめのゲイバーなども教えてもらえるだろう。なお、姉妹店にショータイムも楽しめるゲイバー「EAGLE TOKYO BLUE」もある。(編集部注:「EAGLE TOKYO」「EAGLE TOKYO BLUE」は8月26日時点、31日まで臨時休業中)

インタビューを終えて
 今回は日本のLGBTQツーリズムの先駆者のお一人であり、海外の事情にも精通している小泉氏にお話を伺いました。過去のテロや震災、疫病後にLGBTQの方々が他に先んじて旅行を再開したこと、その理由に関する小泉氏の見解は学びになるとともに、セクシュアルマイノリティの方々が日常的に感じておられるストレスや不安に改めて気づきを与えていただきました。