【コロナに負けず】ホテルパームロイヤルNAHA代表取締役総支配人の高倉直久氏

沖縄旅行者、21年も19年比半減か
民間の感染防止策が不可欠、「徹底除菌ルーム」も

COVID-19の感染者数が増えるなか、県外からの観光客に対し、沖縄の観光業界はどのようにお考えなのでしょうか
テレビの取材に応じる高倉氏

高倉 先日テレビ番組に出演したが、その際に沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合や沖縄県ホテル協会の役員や事務局長と意見交換をした。いずれも、観光業界としてはウェルカムだが、ホテル間でしっかりした連携をとりながら、COVID-19対策をすることが大前提だ。そのなかで、少しでも体調不良が疑われる場合は旅行を控えてもらい、健康なお客様に来ていただきたい。

 沖縄は観光客を受け入れなければ死んでしまう。COVID-19は重症化しにくくなっており、必要以上に怖がらなくてもよいと思う。「正しく恐れる」をキーワードに、業界内で対策していきたい。

貴ホテルはどのような対策をしていますか

高倉 3月中旬からいち早く対策した。例えばチェックインカウンターにアクリル板を設置し、ドアノブやエレベーターのボタンなど、手が触れる場所にウィルスを分解する光触媒による抗菌コーティングを実施した。抗ウィルスのフィルターを搭載した掃除ロボットも利用している。また全従業員に対して接触確認アプリ「cocoa」をダウンロードするよう義務付け、今後出入り業者への呼びかけも行っていきたいと考えている。

 また、「徹底除菌ルーム」として、客室を次亜塩素酸や除菌水で拭き、宿泊客が主に触れると思われる箇所を中心に徹底的に除菌するなど通常の1.3倍清掃に力を入れ、宿泊から次の宿泊までの期間を1、2日空ける特別室を販売している。さらに万が一チェックイン時や滞在中に発熱をされたお客様に備え、発熱者専用フロアも設けた。沖縄のCOVID-19対策は、他府県と比べてより高い水準と自負している。お客様にはぜひ来てほしい。

旅行会社や航空会社に期待することはありますか

高倉 お客様に必ず厚生労働省の新型コロナウィルス接触確認アプリ「cocoa」をダウンロードするようお伝えいただきたい。また、旅行当日に37.5度以上の熱があるお客様は旅行に参加できず、飛行機にも乗れないようにしてもらいたい。政府の強制力がないので、民間でしっかりと「熱がある人は旅行しない」というルールを設けてほしい。また、お客様についてもマナーとしてそれを守ってほしい。マナーを守らない人を防ぐという意味も、民間企業が強い情報発信をするべきだと思う。

 当日の旅行キャンセルは売上が落ち込むので、キャンセル費用を補償する保険が あればいいと思う。万が一熱があって旅行できない場合に対応できる保険があれば、水際でCOVID-19の蔓延を防げるのではないか。お客様も我々も被害がないと思う。

インタビューを終えて
 今回は次世代の沖縄観光産業を担う若手リーダーである高倉氏にお話を伺い、「観光立県」沖縄の窮状と、その中での精一杯の取り組みを教えていただきました。また、旅行会社や運輸関連企業自ら、「COCOA」のダウンロードや体調不良の場合の旅行不可について積極的に顧客に伝えて行くべきだとの提言もいただきました。おっしゃる通りですので、業界誌としてもぜひ啓発に取り組みたいと思います。
※追補
沖縄県がインタビュー後の7月31日に、8月1日から15日を対象にした緊急事態宣言を発出したことに伴い、高倉氏より8月1日に以下の追加のコメントをいただきました
 知事が緊急事態宣言を発出し、県外から沖縄への旅行を計画している人々などに対して、渡航自粛は要請しないとしながらも「県民が外出自粛をしている状況では、旅の楽しさや沖縄らしさを満喫できるかどうか。できれば宣言発出中には(旅行を)再検討してほしい」と発言した。この発言を「実質の自粛要請だ」と受け止める方が多く、かなりの予約キャンセルが出てしまった。観光業はこの2週間で経済活動が鈍化し、さらに厳しい状況に追い込まれるであろう。