【コロナに負けず】ホテルパームロイヤルNAHA代表取締役総支配人の高倉直久氏

沖縄旅行者、21年も19年比半減か
民間の感染防止策が不可欠、「徹底除菌ルーム」も

来年以降はどのような見通しですか
感染防止対策の例

高倉 2019年の沖縄の観光客数は1016万3900人で、その約3割が訪日客だった。21年は訪日客がほぼ見込めず、COVID-19の影響で国内客もさらに2、3割減り、500万人から600万人程度になる予想だ。

 これまで県の多くの観光系企業は、年間観光客数1000万人、ひいては1200万人時代を見込み、積極的に投資していた。県内全域でホテルの建設が進んで客室の供給が増えるなか、21年の観光客数が19年比5割減となれば、どうしてもパイの奪い合いになる。今後減少が見込まれる団体や訪日客がメインのホテルはより厳しい状況になるだろう。FITに注力しており、なおかつ資金力があるホテルは残りやすいと思う。旅行会社についても同じ状況で、経営資金の調達次第だが、上位の大手旅行会社以外は団体の減少により苦戦することが予想される。

 訪日客については台湾に期待を寄せている。沖縄と台湾は距離が近い。(一財)沖縄観光コンベンションビューロー下地芳郎会長が、沖縄/台湾間で航空便を運航してほしいという要請を県に出すなどの努力はしており、実現すればプラスアルファの要因になるだろう。

来年末で廃業、倒産する宿泊施設も出てくるのでは

高倉 廃業するか、経営を手放してファンドの傘下になるホテルもあるだろう。4月にCOVID-19の影響で倒産したWBFホテル&リゾーツも、再建支援スポンサーとして他社が名乗りを上げている。早くホテルを手放したい企業と買収したい企業が水面下で交錯しているという情報を得ている。

 旅行需要は世界的に見ても右肩上がり。今後は旅行需要の旺盛な中間富裕層が増えるので、必ず需要も増えるだろう。COVID-19のワクチンが開発され、その安心感から旅行が持ち直すのはここ数年以内と見ており、そこまで持ちこたえられる会社が生きのびていくのではないか。

 観光は沖縄の基幹産業で、波及効果を入れると観光消費額は県内総生産の27%、雇用は就業者の21%を占める。観光業がおぼつかなくなると失業率が高まり、県の経済は壊滅的になる。先日、日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)が21年度の新卒採用を取りやめると発表した。失業者を出さないため、沖縄労働局が県内の経済団体に新卒の採用を要請しているが、特に航空業界は厳しいだろう。一部のスーパーなど食品業界は持ちこたえられるだろうが、大体が不安定な状況になると思う。