過去20年で旅行会社は減った?増えた?-「数字が語る旅行業」分析


 「数字が語る旅行業」。日本旅行業協会(JATA)が毎年発行している小冊子で、日本や世界の旅行業界に関する様々なデータが掲載されている。6月に発行された2020年版に収録されているデータは実際には2019年のもので新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響は反映されてなく、来年の「数字」はこれまでとは全く異なる様相を呈することは間違いない。

 とはいえ、逆にいえば最新号は「コロナ前」では最後のデータであり、また2020年というきりの良い版でもあることから、過去20年のデータを紐解いて旅行会社の数がどのように変化してきたかをまとめてみる。なお、記事に使用しているデータはすべてJATAのウェブサイトより借用した。

業種別で異なる様相、唯一数を増やす第2種


 まず旅行会社の数を見てみると、最新の2019年のデータでは第1種が691社、第2種が3022社、第3種が5803社、地域限定旅行業が267社、旅行業代理業が675社となっている。これらについて1999年、2009年の数値と比べたのが上図で、全体の数は1999年が1万1072社、2009年が1万436社、2019年が1万458社と大きく減ってなく、むしろ地域限定の開始もあってこの10年は増えた結果となっている。

 ただし、登録種別で見ると状況は異なり、第1種旅行会社が896社から791社、691社と10年ごとに約100社ずつ減っている一方、第2種は2766社から3022社までだんだんと増加。また、第3種は1999年が5971社、2009年が5957社と大きな変化はなかったものの、この10年で150社以上が減ったという。最も大きな変化があったのは旅行業者代理業で、1999年に1439社あったところから2009年には901社、2019年には675社と半減以下となった。

 より細かく見ると、第1種は2004年に前年より100社近く減少して756社となったところから、2006年には817社まで戻したものの、以降はなだらかな減少傾向が続いている。第2種は2013年をピークに一旦減少に転じたが、2015年の2776社を底として回復傾向を示している。第3種は、2003年に6314社まで増えたものの2015年には5524社にまで落ち込むなど動きが大きいのが特徴だ。

 そして、旅行業者代理業は2009年頃にわずかに持ち直した以外はほぼ毎年のマイナス。2019年には、おそらく史上初めて代理業の数が第1種旅行業を下回る結果となっている。