JATA会長に東武トップの坂巻氏、事務局長は元KNT-CTの池畑氏
新会長、「会員のため」を常に意識
力合わせ「協調と共創」を創出へ
日本旅行業協会(JATA)は6月22日に定時総会を開催し、新会長に東武トップツアーズ代表取締役社長執行役員の坂巻伸昭氏が就任することが決定した。2012年から2年間は副会長、2014年から6年間は会長としてJATAの舵取りを担った田川博己氏は退任した。
坂巻氏は東武鉄道出身で、2010年には東武トラベル取締役社長を務めたほか、2013年には東武鉄道によるトップツアー買収の後にトップツアーの代表取締役社長に就任。2015年に東武トップツアーズが発足してからも同社の代表取締役社長を務め、JATAでは2017年から副会長を務めている。
坂巻新会長、「ご意見をしっかりと聞ける体制を」
坂巻氏は就任後の挨拶で、まず田川氏について「2014年より6年もの間、JATAの会長であると同時に、まさにツーリズム産業のリーダーとして活躍され、旅行産業を国の成長戦略の柱のひとつに導かれた」とその功績を賞賛し、新体制でも「築かれた礎をしっかりと踏襲し、より強固に発展させていきたい」と強調した。
そのうえで今後の方針については、現況を「かつて経験したことのない厳しい局面」と表現したうえで、「このような時こそJATA設立時の原点に立ち返り、会員のために何ができるかを常に意識し、協会運営を進めたい」と表明。そのうえで「旅行業の原点」とする「人」に向き合うことを重視するとした。
「人」とはJATAの役員や役員の企業で勤める従業員、顧客、そして取引先や観光庁、地方自治体、地域住民などで、これら多方面の「人」との連携を今まで以上に強化することが必要との考え。そのため、「ともに歩む協調、ともにつくる共創」をテーマとし、会長としても協会としても、「いろいろな方々からのご意見をしっかりと聞ける体制を構築していきたい」と語った。
そして挨拶の最後には、「いずれにしてもこの難局を乗り越えてより強いJATAをめざしていくためには、会員皆様方のお力が必要」とし、「お力添えを強く、強くお願い申し上げる」と語りかけた。
副会長にJTB髙橋社長、事務局長には池畑孝治氏
新体制では、副会長はワールド航空サービスの菊間潤吾氏、日本旅行の堀坂明弘氏が続投してJTBの髙橋広行氏が新任。理事長の志村格氏も再任されている。
また、JATA事務局長も交代。越智良典氏が退任し、後任にはKNT-CTホールディングス出身の池畑孝治氏が就いた。池畑氏はKNT-CTで取締役グループ事業推進本部長まで務めた経歴を持つ。2013年から事務局長を務めた越智氏も、旧近畿日本ツーリスト専務取締役などを歴任しており、2代続けてKNT-CTグループの要職経験者が就任したことになる。
なお、田川氏は任期2年の特別顧問に就任。また越智氏は任期1年の参与に就任し、引き続き新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対応や「ツーリズムEXPOジャパン」、政界との折衝などに携わるという。
予算は「非常事態編成」、事業も見直し
総会では、旅行業界全体が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の甚大な影響を受けているなかで、新年度の予算案や事業計画を承認。予算は総額1億円の減収を見込むなど「非常事態編成」としており、事業も見直し。海外、国内、訪日の3事業については需要回復を最優先し、若年層の需要喚起に取り組む「ハタチの一歩」などの事業は一旦凍結したうえで来年度の再開をめざす。
新役員一覧
訂正箇所:サブタイトル、第5段落
誤:競争
↓
正:共創
また、池畑氏のお名前を誤って表記しておりました。お詫びして訂正いたします。