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【コラム】旅行再開は夏?秋?-東医大・濱田氏インタビューにアクセス殺到

[総評] アクセスランキングなしで書くのも3週目となり、しかもその間ほとんど外出せずに引きこもっているのでなかなか書くことも思いつきにくいわけですが、今週は振り返りとして特筆すべきことがひとつありました。なにかというと、木曜日の朝刊で配信した東京医科大学教授で東京医科大学病院渡航者医療センター部長の濱田篤郎氏に現状をお聞きした記事が圧倒的なアクセスを集めました。

 結局アクセス数の話になってしまいますが、テクニカルな話をすると、通常当欄でランキングを作成する際に使用している数値はメールニュースに記載されたURLがどれだけクリックされたかで、これとは別にトラベルビジョンのサイト上でそれぞれのコンテンツをどれだけ多くお読みいただくかというアクセス数も存在します。

 これら2つでなにが違うかというと、前者はメールアドレスをご登録いただいている方々、つまり旅行業界に携わっている方々(9割超が業界関係者です)によるクリックで、後者は例えばGoogleの検索結果などから流入する一般消費者のアクセスも含みます。当欄で前者を採用しているのは、その方がより旅行業界の興味を把握できると考えているためです。

 そして今回数値が跳ね上がったのは後者で、通常多く読まれるものは掲載数日後の段階で2万件程度であるところが10万件を超えました。Yahoo!など莫大な利用者を抱えるサイトで取り上げられるとそれだけで跳ね上がりますので、最近は後者を話題にすることも減っていたのですが、数日で10万件超というのは過去10年でおそらくてるみくらぶの第1報くらいで、ただ驚くばかりです。ちなみに、メールのクリック数も年間で5位以内には入るであろう数値となっており、業界の内外で濱田氏のお考えが注目を集めたことになります。

 旅行業界側としては、もちろん純粋に「いつ頃になにが期待できるのか」という点が最大の興味の対象であったと思いますし、その意味でメールクリック数が十分に高い結果となったのは、読みどおりご興味に応えられたと大変嬉しく思います。

 一方サイト側、つまり一般消費者を含むネットユーザーが何を考えてこのインタビューを読んだかについては想像するしかありませんが、ひとつは、こちらも純粋に旅好きな方がいつ頃になれば旅行できるようになるのかとご覧になった可能性が考えられます。もともと完全に旅行会社向けに振り切って媒体運営をしていますが、それでも航空路線の話題や現地最新情報、観光局のプロモーション方針などを参考にされる消費者も少なからずいらっしゃると感じており、読みとして外れてはいないでしょう。

 もう一つの可能性は、早くて国内旅行は夏以降、海外は秋以降という氏の見立てについて、「甘すぎる」「こういうことを言う人間がいるから感染が…」というような不謹慎狩り的訪問です。こちらも推測の域を出ませんが、Twitterで一部を垣間見る限りゼロではなさそうです。

 旅行業界誌としては、なるべく前述の旅行好きの皆様がお越しいただいていると願わずにはいられませんが、世情としてはそうした不謹慎狩りがますます勢いを増しているように感じます。専門家でもない一市民がなぜそこまで強く主張できるのかと思う場面はコロナに限らず非常に多くあるわけですが、一体どういうつもりでそれを世の中に向けて投稿しているのかと疑問に思います。

 風の旅行社・原優二社長のコラム「コロナ奮闘記」第5号でも書かれていますが、このままいくと旅行産業は消えてしまいます。正義の一市民たちは「消えてしまえ」と言うのかもしれませんが、危機は旅行に限ったものではなく、このままでは社会が成り立たなくなります。運悪く続けて別のウィルスがやってきたらどうするのでしょうか。

 ANAホールディングスが4月20日に発表した業績予想の下方修正で、第4四半期に596億円の営業赤字が発生したことが分かりましたが、仮に1月が収支ゼロだったとしても、2月と3月に約600億円、1日あたり10億円を失ったことになります。勝手な予想ですが、こうした状況を見ていると、感染封じ込めの状況にめざましい改善がなくてもそのうち経済活動を順次再開せざるを得ないのではないかと思うところです。(松本)