欧州発着日本語観光バス「ランドクルーズ」旅革命への挑戦-
全ての旅行会社が利用できる観光付き移動インフラとして[PR]
1名より催行確約で自社商品への組み込み可能
旅行会社は催行リスクの心配なく、旅行素材として1日から利用可能
KNTが「ホリデイ」に組み込み
近畿日本ツーリスト首都圏では、JTB側からの働きかけを受けて19年4月の運行開始から「ランドクルーズ」を組み込んだ募集型企画旅行を商品化している。
同社では商品化の理由について「効率を考えれば自社単独での日本語ガイド付きバスの運行は難しいが、『ランドクルーズ』を活用すれば価格面と安心面で優位性を打ち出すことができる。催行中止の心配がないことも大きい」(首都圏海外企画センター・上席副支店長の長野亮太氏)としている。
同社では「ランドクルーズ」だけでなく、さまざまな現地移動の手段を組み合わせている商品もあり「旅程の一部分で『ランドクルーズ』を使い、別の部分ではランドオペレーターが用意した移動手段を利用するといった柔軟な使い方ができる」(長野氏)こともメリットに挙げる。
JTBグループで旅行素材販売を行うトラベルプラザインターナショナル(TPI)は、顧客旅行会社への「ランドクルーズ」販売に力を入れている。同社は19年4月から第1種旅行会社に対して募集型企画旅行の素材として「ランドクルーズ」を販売してきた。しかし第2種、第3種の旅行会社から単品販売の要望が多かったこともあり、20年度より単品販売の取り扱いも開始した。
同社では「1名催行で造成・販売がしやすく日本語ガイド付きの安心感もある。移動が難しいエリアを旅することもできる。多くの旅行会社に勧められる」(営業推進部地上仕入課・根来嘉洋氏)とする。
またTPIでは単にJTBが提供する「ランドクルーズ」をそのまま販売するだけでなく、「たとえば旅行会社が自社の募集型企画旅行に組み込む上で旅程管理をしやすいよう、バスの乗降場所までの送迎を付けたり、前後泊の行程を付けるなど付加価値の向上を図ったうえで販売することにも取り組んでいる」(同)。
欧州旅行の課題を解決するインフラとして投資
もともとJTBが「ランドクルーズ」の事業化に踏み切ったのは、旅行業界に共通するヨーロッパ商品の課題を克服するためだ。現状ではヨーロッパ方面における主力商品は依然として添乗員付きの旅行商品だ。しかし現状に甘えていればジリ貧となるのは明らかだ。
鈴木氏は「IT運賃座席の供給が減り、公示運賃化、つまりダイナミック化が進めば添乗員付き商品は造成しにくくなる。またダイナミック化が進みウェブ販売が増える中で、単に航空とホテルを組み合わせただけの旅行商品販売ではOTAに敵わない。JTBならでは、リアル旅行会社ならではのメリットを加えて商品提供する必要がある。そこでJTBはSICを我々ならではの付加価値として提供することを考え、先行投資に踏み切った」と説明する。
またプロジェクトの推進役の一人でJTBヨーロッパグループ・欧州広域商品企画部長の常盤省吾氏は「日本とヨーロッパ間の団体用航空座席の確保が難しくなっており、この傾向は今後も続くと思われる。したがってFITの取り込みの重要度は増していく。一方でFITの視点に立てばヨーロッパ旅行をするにあたってハードルが高いのはローカルサイドの移動だ。つまりこの部分を解決すればFITを取り込めるし、逆にこのような努力をすることでFITを取り込んでいかなければ将来はない」という。