新型コロナ、派遣添乗に影響甚大、個人向け共済貸付も
日本添乗サービス協会(TCSA)は3月19日、2020年度の通常総会と記者会見を開催し、新型コロナウィルスの感染拡大が添乗員派遣に大きな影響を及ぼしている現状を報告した。会長の三橋滋子氏は会見の冒頭、「会員会社は仕事が99%ないような状態。大変苦慮している」と説明。そして「添乗員も苦しんでいるし、会員会社もほとんどが添乗派遣をメインの仕事にしているので非常に厳しいのが現状」であるとした。
会員各社のなかでは添乗員を常用雇用している会社もあるものの、多くが「業務が発生した時の短期雇用の繰り返し」の登録型で、案件が発生しなければ給与も支払われることはない状態。
こうしたなか、協会としては観光庁などからの情報を会員各社に発信しているほか、共済会で個人に対する貸付を実施。3年以上の勤務経験などの条件はあるが、1口5万円で4口まで、2年間無利子で貸し付けるもので、所属する会員企業が保証することで利用可能。過去にも東日本大震災の際を含めて2度実施していたが、今回はこれまでよりも申し込みのペースが早いといい、今後も積極的に案内していく方針だ。
また、厚生労働省の雇用調整助成金についても、雇用保険の加入や雇用形態などの条件によって申請が可能かどうかが左右され、さらにハローワークによって見解が異なることもあるといい、情報の取りまとめやアドバイスを実施。会員各社からは条件緩和の働きかけや、常用雇用型でない添乗員向けの窓口を開いてほしいといった要望が寄せられているところで、「たやすいことではないが、やれる限り」取り組んでいくという。
なお、今年度の事業では、5年かけて新設をめざしていた、添乗員の活躍の場を広げる「インバウンドスタッフ検定(仮称)」について、もともとは技能検定として国から認定を受けることをめざしていたが実現の目処が立たないため、独自の検定制度として年内に整備する方針を決めた。このほか、賃料負担を軽減するため年内に品川区に事務所を移転する方針も決定しているという。