日本旅行、19年は増収増益、今年は投資フェーズ-リテール子会社も詳細決定

  • 2020年3月1日

 日本旅行の2019年12月期(2019年1月1日~12月31日)の連結業績で、営業収益が前年比5.4%増の547億4800万円、営業利益が69.2%増の15億3500万円、経常利益が44.5%増の25億1600万円、純利益が155.4%増の16億2400万円と好調な結果となった。

 単体での海外旅行部門では、「No.1戦略国」と位置付けたスペイン、ベトナム、カナダ、オセアニアのほか、欧州の販売に注力。またダイナミックパッケージを含めたWeb専用商品も強化した。これによりマッハ・ベストツアーの取扱額は前年から横ばいの369億900万円となった。

 団体旅行ではインセンティブや学校の語学研修などに力を入れたほか、台湾での「日本の観光物産博2019」やアテネでの「ジャパンウィーク」などに取り組んだものの、取扱額は6.3%減の230億8800万円となった。このほか、国際航空券などの単品販売は取扱額が0.2%増の628億6700万円となり、海外旅行合計の取扱額は1.1%減の1228億6500万円、営業収益は前年と変わらず93億8900万円となった。

 一方、国内旅行部門の取扱額は7.2%増の2789億円で、営業収益は5.0%増の300億2600万円。JR各社との連携による商品企画を強化したほか、読売旅行との連携などを実施。企画商品の取扱額は3.9%増の1029億9000万円、団体旅行は0.8%増の753億3900万円となった。JR券や国内航空券などの単品販売は、16.5%増の1014億7000万円と大きく伸長した。このほか、国際旅行は取扱額が8.5%増の490億8700万円、営業収益は58億6700万円となった。

中計数値も発表、新会社は「日本旅行リテイリング」

 2020年12月期の業績予想は、営業収益が5.0%減の520億円、営業損益が2億8000万円の赤字、経常利益が79.3%減の5億1000万円、純利益が88.9%減の2億8000万円。これらは、昨年末に発表した2025年までを計画期間とする6ヶ年の中期経営計画のもと、前半は中核分野に投資をすることを念頭に置いたもの。新型コロナウィルスなどの影響は織り込んでいないという。


発表資料より転載

 中期経営計画は、昨年時点で数値目標を明らかにしていなかったものを今回公表。取扱額は2019年の4510億円に対して2025年が10億円(+0%)増の4520億円、営業収益が20億円(+4%)増の484億円、そして営業利益が7億円(+70%)増の17億円とした。

 中核分野と位置付けるのはインバウンド、教育旅行、MICE、BTM、Web販売、そして地方創生事業、シニア向け商品で、これらの合計取扱額は2019年度が2411億円のところから、2025年度には27.4%増となる3072億円とすることをめざす。全取扱額に占めるシェアは2019年度が51%、2025年度が64%との想定だ。

 数字上は中核分野以外の事業が大きく減少していくことになるが、これらは単体での計画値で、中期経営計画で日本旅行オーエムシートラベルと日本旅行サービスを統合して新会社を設立し本体のリテール事業も移管する計画で、2025年度の数値からはこの分が除外されているという。

 リテールの新会社は社名を「日本旅行リテイリング」と決定し、4月1日に営業を開始する予定。資本金は9000万円で本社所在地は東京都中央区築地、代表には現在日本旅行の取締役兼常務執行役員個人旅行営業統括本部長で日本旅行サービス代表取締役社長を務める大槻厚氏が就任する予定。社員数は663名、事業所数は124ヶ所となる。
※訂正案内(編集部 2020年3月2日11時10分)
中期経営計画の計画期間を2026年度と表記していましたが、正しくは2025年度でした。お詫びし訂正いたします。